ローカルトピックス - 2010年3月
月刊「住民と自治」に掲載中の人気コーナー!2010年3月号より。
関西2府5県関西広域連合、見えぬ利点
府県同士では全国初となる広域連合、「関西広域連合(仮称)」が、大阪、京都、兵庫、滋賀、和歌山、鳥取、徳島の2府5県で発足する枠組みが1月8日の知事出席の会議で固まった。しかし「(広域連合参加の)具体的な影響や県財政へのメリットが説明できていない。今年前半(の設立)は到底無理」と嘉田滋賀県知事が発言。この日示された設立案では、事務に7分野31事業が列挙されたが、従来の府県連携で対応できる面もある。三重県はこの日、「広域連合である必要性、メリットが見出しづらい」として当初からの参加は見送った。奈良、福井も同様に見送りとなり、鳥取と徳島は事務を限定した部分参加となった。
また地方自治法上、広域連合設立には参加自治体議会の議決が必要になるが、10月の京都府議会特別委員会では、「民意が反映しにくくなり、住民自治を遠ざける」「大阪の知事やら経済界の連中が勝手にやっている」などと、与野党問わず知事主導の議論に批判が集中した。
このような事情に配慮し、2月議会では正式提案せず説明にとどめるとしたため、設立は早くとも今年後半となるが、単なる行政事務の共同化でなく地域主権の起爆剤と位置付ける橋下大阪府知事は、「(鳩山政権の地域主権戦略大綱がまとまる)今年の夏までがタイムリミット。国の地域主権の流れに乗れない」と焦りをかくさなかった。(京都新聞1/9)
防災
・災害発生時の相互応援体制の強化
・救援物資の共同備蓄
・広域的な新型インフルエンザ対策
観光・文化振興
・広域観光ルートの策定
・海外観光プロモーションの実施
・「関西地域限定通訳案内士」創設
産業振興
・産業クラスターの連携
・公設試験研究機関の連携
医療
・ドクターヘリの配置・運航
・広域救急医療体制の充実
環境保全
・温室効果ガス削減の取り組み
・府県を越えた鳥獣保護管理(カワウ対策)
資格試験・免許
・准看護士、調理師、製菓衛生師の試験・免許交付
兵庫県内必要あっても「2重行政」と廃止
不況による雇用情勢の悪化を受け、兵庫労働局と県内の7市が設置する「高年齢者職業相談室」の2009年度の相談者が急増。昨年11月末で延べ約2万5000人と、既に08年度の全相談者とほぼ並び、月平均では約1・5倍だった。だが行政刷新会議の事業仕分けで「ハローワークとの2重行政」と批判され、厚生労働省は本年度で廃止することを決めた。各相談室は、管内のハローワークと同じ求人情報を提供しているが、パソコンの苦手な高年齢者のため、年齢に応じた求人票をファイルにして閲覧できるようにするなどしてきた。神戸市の担当者は「2重行政」との指摘について、きめ細かな役割分担がどこまで認識されていたのか」と疑問視する。(神戸新聞1/9)
静岡県島田市近隣病院縮小で患者過剰集中
島田市立島田市民病院の入院病床が、榛原総合病院(牧之原市)をはじめ近隣公立病院の診療体制縮小の影響などによる患者急増で満床状態となり、今後受け入れを制限せざるを得なくなる可能性があることを市長と病院長が明らかにした。
市と島田市民病院によると、同病院で使用されている516床の現在の稼働率は96%。昨年12月の榛南地域(牧之原市と吉田町)からの入院患者数は約2800人で、前年同月の約740人から4倍近くに増えた。1月7日にはベッドが足りず、当日の予約外入院患者14人のうち7人の受け入れを近隣市の4病院に依頼する「異例」の事態が生じたという。緊急の対策として榛原総合病院と連携し、最高30人の入院患者の転院を依頼する方向で検討を進めている。(静岡新聞1/14)
長崎県佐世保市24時間前通報なし崩し
1964年の日米合意により外務省は、米原子力潜水艦寄港地の自治体に寄港24時間前に到着時刻と停泊場所を通報している。ところが米中枢同時テロ以降、「事前に知られると標的になる可能性がある」と「例外的な臨時の措置」として非公表を自治体に要請した。佐世保市は従来、漁協や船会社など30団体に入港を事前に伝えていたが、非公表になり、漁船や定期船と原潜との衝突事故危険性が高まっている。また市は03年度から毎年解除を要望しているが、テロ後9年経っても実現せず、原潜寄港に反対する市民らは「秘密に慣らされ、情報公開ルールの形骸化がなし崩しに進むのが怖い」と懸念している。(長崎新聞1/10)
富山県内資料費減、高価な本にしわ寄せ
自治体の厳しい財政事情を受けて、富山県内の図書館が書籍の購入に充てる「資料費」の確保に苦慮している。県立図書館の資料費は、平成7年度の6675万円をピークに減り続け、18年度以降は4000万円台前半となっている。しかし20年度の購入冊数は1万1523冊と7年度の1万2199冊とほとんど変わらない。資料費が減少しているのに、購入冊数が減っていないのは、高価な書籍の購入を見合わせ、新書など安価な本を増やしているため。
1万円を上回るものが多い年鑑や文献目録は、出版するたびに購入していたものでも4、5年前からは、利用が少なければ買い控えることが多く、数千円程度の学術書も類書があれば買わなくなった。7年度に購入した本の1冊当たりの価格は約4500円だったが、現在は約3000円。苦しい台所事情は市町村立図書館も同じで、各図書館の資料費の総額は15年度の3億3831万円をピークに減少。21年度は2億3858万円で、15年度の7割ほどとなっている。(北日本新聞1/12)
富山県内県「消費者相談は市町村で」
全国共通の電話番号にかければ最寄りの自治体など消費者相談窓口につながる「消費者ホットライン」がスタートした。富山県内では8市町がホットラインからの電話を受け付けるが、7市町村は相談体制が手薄なことや消費生活関連の相談がほとんど寄せられないことなどを理由に、県消費生活センターに対応を任せている。黒部市は専門的な相談に応じられる職員がおらず、住民の2度手間にならないよう最初からセンターにつながるようにしたとし、また、窓口で受ける相談が年間2~3件という朝日町もセンターに任せることにした。実施8市町のうち3市についても、資格者が1人しかいないことから曜日によりセンターにつながるようにした。
県は市町村窓口で相談に乗るメリットを知ってもらうとともに、窓口担当職員のレベルアップを図ろうと、県消費者協会の相談スタッフを派遣したり、職員らを対象に資格取得を支援する講座を開くなど、支援策を講じている。(北日本新聞1/13)
千葉県松戸市孤独死ゼロめざす研究会
孤独死防止の活動を全国に広げようと、松戸市の常盤平団地自治会の役員らが、NPO法人「孤独死ゼロ研究会」の設立準備を進めている。主な事業内容は、孤独死の調査研究、同団地自治会や地区社会福祉協議会のメンバーらが取り組んできた「孤独死ゼロ」作戦の普及、講座や研究会などへの講師の派遣、会報の編集・発行、などを予定する。会員を募るほか、専門家らで構成する研究員を確保し、他の自治体や団体などに孤独死問題を発信していく。3月下旬にNPO認証を受けられる見込みという。(千葉日報1/6)
石川県/福島県全国学テ抽出外でも独自実施
文部科学省が新年度から抽出方式に変更する全国学力テストで、石川県内の全市町教委が全員参加を続ける意向を文科省に示していることが、北國新聞社の取材で分かった。文科省通知によると、抽出外となった学校も希望すれば問題用紙の配布を受けることができ、集計などにかかる費用は市町の負担での独自実施となるが、市町教委は地域ごとの学力把握や現場の授業改善には、全員参加の調査が必要と判断したとみられる。
全国学力テストについて、福島県では県内市町村教委のほぼ半数の28市町村が抽出対象外でも文科省から問題の提供を受け、独自にテストを実施する方針であることが福島民報社のまとめで分かった。一方で、12市町村は「民間のテストで学力を推し量ることは可能」、「財政上負担するのが厳しい」などを理由に実施しない方針で、19市町村が未定・検討中としている。(北國新聞1/15、福島民報1/8)
宮城県「県教育振興計画」意見わずか
宮城県教育行政の2010~19年度の指針となる県教育振興基本計画の答申案について、県教委が市町村教委に意見を求めたところ、提出は4市町にとどまった。未提出の自治体は「特に意見がなかった」の他、文書だけでは内容も県の意思も伝わってこない」、「目を通したが中身は検討しなかった」との受け止めもあった。県教委委員長は「市町村を通じて実施するのだから、取り込む工夫が必要だ」と指摘している。(河北新報1/8)
横浜市入札中止・取り消し倍増
横浜市が発注する公共工事で2009年度、市職員が作成する設計書のミスなどによる入札の中止や取り消しが既に52件と、前年度の26件から倍増した。ミスの多くは費目を計上しなかった、単価を間違えたなど単純な人為的なものだが、積算システムに入力する個所は多岐にわたり「これだけの内容をすべて理解して設計書をつくるのは容易ではない」(市都市整備局公共事業調査課)という。見積り費用(落札価格の1%程度)は業者負担だが、入札が中止になればそれが無駄になり、大きな痛手となる。(神奈川新聞1/4)
自治体政策情報
島根県がん全患者数調査へ
都道府県で初めて「がん対策推進条例」を制定した島根県は2010年度、県内のがん患者の情報を一元的に管理する「地域がん登録推進事業」を始める。これまで県内主要9病院を対象に調べてきた患者数の把握、集計を全医療機関に拡大し、統一用紙に、氏名や住所、病名、進行具合など、28項目を記入してもらい、県が新設予定の「中央登録室」に集めて、予防や治療、病院間の連携に役立てるとする。
葉山町20年後ごみゼロへ
神奈川県葉山町は、ごみの減量や再資源化を進め2029年までに焼却や埋め立てをしないとする「ゼロ・ウェイスト計画」に取り組んでいる。葉山町は横須賀市や3浦市とともに、ごみを広域で集めて処理する計画を進めてきたが、08年、「脱焼却、脱埋め立て」を掲げる森英二町長が当選し、広域化計画から脱退した。町長は03年に全国初の「ゼロ・ウェイスト宣言」をした徳島県上勝町のNPO事務局長を臨時職員としてスカウト。現在はそれぞれ100戸程度のモデル地区を町内に4つつくり、堆肥化式や微生物による分解式など、各家庭に適した生ごみ処理機の無償配布や、品目を細かく分けた資源物の収集など、実験を重ねている。
牛久市耕作放棄地の地元菜種油を給食に
茨城県牛久市は耕作放棄地を再生し、資源作物として栽培した菜の花から搾油した「100%牛久産菜種油」を市内の学校給食で使い始めた。同市の進めるバイオマスタウン構想の一環で、今後使用済みの廃油をバイオディーゼル燃料化し、公用車などで再利用する。
王滝村「クラウド」活用
長野県王滝村の王滝観光総合事務所と慶応大大学院メディアデザイン研究所(横浜市)は、村内旅館・民宿の宿泊予約に「クラウドコンピューティング」を活用する仕組みづくりを進めている。自前のサーバーやソフトウェアが不要で初期投資を抑えられることがメリット。
長野県耕作放棄地を山林指定
長野県は耕作放棄が長年続いて実質的に林野化している県内の農地数千㌶を、森林法に基づく「山林」に指定替えする方針を固めた。耕作地として復元を目指すよりも、土地の実態に合わせて森林として整備する方が現実的と判断した。また林野化している放棄地を山林に指定すれば、民有林の森林整備方針を定める「地域森林計画」の対象にでき、林業事業者らが国の補助金を活用して間伐や除伐に取り組める。
高知県認知症高齢者子どもがサポート
高知県は、高齢化で増える認知症の人を地域全体で支える仕組みをつくるため、従来の大人版に加えて小中学生版「認知症サポーター」の養成に乗り出す。認知症サポーターは認知症を正しく理解した上で、認知症の人や家族の支援などに当たり、早期発見などにも努める。厚労省が提唱してきた大人版は、県内では09年9月までに民生委員や自治会役員らを中心に4万4000人以上誕生している。県内各市町の1学校から養成講座を始め、15年までに1万人を養成する。
大和市無保険高校生を救済
保護者が国民健康保険の保険料を滞納することで、高校生世代の子どもが無保険状態になっている問題を解消するため、大和市は独自の救済措置に乗り出す。法改正により全国の自治体は同様の中学生以下の子どもには短期の保険証を交付する救済措置を実施しているが、同市は対象年齢を18歳以下まで引き上げる。
西和賀町町長登庁2庁舎交互に
岩手県西和賀町の細井洋行町長が、合併した旧湯田町と旧沢内村の住民融和を進めようと、執務場所として湯田の本庁舎、沢内の分庁舎を曜日によって使い分ける試みを始めた。
以上、月刊「住民と自治」2010年3月号より。