原発に頼らない生活をめざして―家庭用太陽光発電の検証―

滋賀自治体問題研究所
瓜生 昌弘(滋賀自治体問題研究所事務局長)


1. はじめに

我が家で太陽光発電装置を設置して一年が経過しました。主な設置目的は、原発に頼らない自然エネルギーの普及という点での個人レベルの努力をしようということと年金生活下での貴重な現金収入を確保することでしたが、それに加えて地域の中小業者への仕事の発注という点で地域経済に少しでも貢献できるのではという思いがありました。一年間の発電状況は、売電による収入、自家消費による買電量の縮減、さらに省エネ機器の導入と従来の電気使用スタイルの見直しによる節電という点で目的は達成されつつありますが、発電実績を数量的に整理し、家庭用太陽発電の効果について検証をしてみたいと思います。

2. 太陽光発電装置の設置状況

図1は太陽光パネルの設置状況を示したものです。屋根が三角形をいくつか貼り合わせた形状であることや、雪止めが設置されていること、さらに北面は日照時間がほとんどなく、西面も隣の家に遮られて日照時間がかなり制約されるため、南面(正確には南南西)に6枚、東面(正確には東南東)に7枚計13枚のパネル設置です。定格出力合計は2.66kWです。

図1 太陽光パネル設置状況

その他の装置としては、太陽光パネルで発電した直流電力を交流に変換し、電圧を調整するパワーコンディショナー、余剰電カの売電量を計測する買電量メーター、リモートコントローラー(発電量、消費量、売電量、買電量を表示)等であり、図2のような系統となっています。

図2 各設備の系統模式図

工事は、足場の設置、解体を含めて約二週間、工事費は約170万円でした。この他、県や大津市の補助を受ける条件として省エネ機器の導入があり、LED照明を玄関、リビング、ダイニングの三カ所に設置した費用が約17万円でした。

3. 1年間の発電状況

(1)データはリコントローラー上で表示

表1は、昨年2月から今年1月までの発電状況を示したものです。コントローラーにはこうしたデータが収納されており、随時表示させることができます。私のところでは行っていませんが、インターネット回線に接続して、パソコンやテレビ、携帯電話でのデータ表示や業者のモニタリングサービスを受けられるようにすることもできます。

表1 一年間の発電状況
発電量業者推定電力消費量自家消費量売電量買電量ピーク発電月最大発電量1年前の電力消費量
kWhkWhkWhkWhkWhkWhkWkWh/日kWh
15年2月176163272561202162.712.3428
3月256228253661901872.813.7336
4月246259215631831522.715.2336
5月343283220922511282.415.1296
6月242238210821601282.615.3239
7月242251240871551532.513.1242
8月2782723521281502242.613.7380
9月227206226711561552.713.4254
10月285194218772081412.412.7263
11月161149241551061862.410.5289
12月172143298671052312.49.7326
1月208147406931153132.710.8617
合計2,8362,5333,1519371,8992,214--4,006
  • 1年前の電力消費量は、関電の請求額。その他はコントローラーの計測データ。
  • 自家消費量は発電量のうち、家庭内で消費した電力量。
  • 売電量=発電量-自家消費量
    買電量=電力消費量-自家消費量

(2)発電量

太陽光による発電量の年間合計は、年間消費電力量の約90%に相当する2836kWhでした。これは、業者推定値を約12%上回るものでした。月別の発電量の合計は、5月が最大、12月が最低であり、1日あたりの発電量の月別最大値は、6月が最も大きく、12月が最も小さくなりました。この結果は、日照時間や太陽の入射角の年間の変化を反映した妥当な結果であると評価できます。

(3)発電能力

表1にはピーク発電値(瞬間の発電量の月最大値)をのせていますが、2.66kWが定格値であり、パネルの劣化の指標になるのかと思っています。意外なことに冬場でも定格値がでていることです。太陽光の水平面への単位面積あたりの入射エネルギー量の季節変化を正午の時刻で比較すると、冬至は夏至にくらべて約半分になります。ところが太陽光パネルに傾斜をつけることにより入射エネルギーの減量を少なくすることができます。私の家では屋根の角度が26.3°であり、水平面への入射に比べて少し有利になっており、そのことが冬場のピーク値がさがらない要因となっていることが考えられます。

(4)電量消費量上自家消費量

電力消費量は家庭内で消費した電力量であり、自家消費量はそのうち太陽光発電の電量を使った量です。したがって、

売電量=発電量一自家消費量

買電量=電力消費量一自家消費量

となり、自家消費量が大きくなれば売電量も買電量も減ることになります。しかし、売電単価は、契約後10年間は37円/kWhと買電単価より高く設定されているので、たとえば洗濯は夜に行い、自家消費量をできるだけ少なくするという努力も行われている家庭もあると聞いています。

(5)買電と自家消費による経済的効果

表1の買電量と自家消費量を金額に換算すると、前者が70,263円、後者が28,005円、合計98,268円でした。しかし、経済的効果としては、表1に1年前の電力消費量を示してありますが、1年前は年間4006kWhの電力消費量でしたが、これが2214kWhへと対前年比で約45%も削減しています。このうち937kWhは太陽光発電の自家消費によるものですが、残りの855kWhはLED照明への切り替えも含まれていますが、節電努力によるところが大です。この節電分は金額換算すると約25,000円であり、一年間の経済的効果は太陽光発電分が98,000円、節電努力分が25,000円、合計123,000円ということになります。投入した金額は太陽光発電装置170方田、LED照明17方田、合計187万円ですが、県と大津市から補助を8万円もらっているので、補助金を差し引いた179万円を回収するための年数は約15年となります。

ところで、節電努力の推進力がどこにあるかというと、それはコントローラーにあります。コントローラーには現在の発電量とともに電力消費量、買電量も表示され、個別の電気機器の電力消費量が把握できるので無駄な待機電力をはじめとする節電には効果的です。また、いちいちコンセントを抜くのは面倒なので、スイッチ付きコンセントに切り替えています。

4. まとめ

  • ①家庭における太陽光発電は原発に頼らない電気を生み出す方法として有効です。
  • ②5年前と比較して国の統計や県の資料をみても太陽光発電の普及が進んできていますが、まだまだ普及の余地は大きいと思います。
  • ③売電量だけで資本費回収を考えると20年以上かかりますが、自家消費や節電効果をあわせて考えると約15年で資本費が回収できます。これは貯蓄等と比較しても有利な資産運用となるのではないかと思われます。
  • ④節電を推進するためには、太陽光発電装置を設置しないまでも、電力消費メーターは家庭内で手軽に見えるものを普及すべきだと思います。