地方から気候危機打開を


小さな農産物直売所の責任者をお引き受して数年、新鮮な野菜が山と積まれる朝の風景は見事です。「ようやく採れた」と少量多品種を生産する農家の方々の安堵感と誇りが伝わってきます。それと同時に「農業とお天とう様は一心同体」を実感する日々です。

新潟県南部に位置する十日町市・津南町でも、ここ数年「気象が異常だ」と感じることが毎年のように起こっています。

魚沼コシヒカリの産地・津南町では、2019年の高温障害により1等米比率が57.5%(例年は70~80%)まで落ちました。出穂期の1週間の平均気温が前年比で4.6℃も上昇した影響です。新潟県内の平野部ではもっとひどく、例年1等米比率が70~80%台の地域が2~3%まで落ち、大打撃を受けました。また、同年の台風19号により日本一長い大河・信濃川は、長野県から新潟県の流域に大きな被害があり、津南町でもまだ復旧途中です。

当地域は日本有数の豪雪地ですが、津南町の2019年度の最高積雪はわずか90㎝(例年約3m)、ほとんどの家が屋根雪除雪不要という異常な小雪。ところが、2020年12月の初雪は3日間で積雪244㎝、町内各地で倒木による停電が発生し、1人暮らしの高齢者世帯が多く困難な生活を強いられました。

温暖化防止のため、CO2を削減し、各地域で再生可能エネルギーによる自給はできないものでしょうか。研究者のご協力を得て、各省庁のデータから2018年の当地域のCO2排出量と光熱費推定額(暫定)を算出いただきました。CO2排出量は十日町市37.7万t(運輸部門30%、産業28%、家庭22%、業務18%、他)、津南町は7.5万t(運輸32%、産業31%、家庭20%、業務16%、他)。光熱費は十日町市推定約190億円(燃料が約130億円、うち大半が石油)で、ほぼ域外流出。津南町は推定約40億円(燃料約26億円の内大半は石油。電力は約12億円)。大半は域外流出です。

再エネの現状を太陽光発電でみると、2021年3月現在の設備容量(20kW以上)は、新潟県36万kW(県外設置者62%、県内32%、個人6%)、長野県152万kW(県外46%、県内38%、個人16%)で、新潟県は県外設置者割合が高く課題です。

CO2削減と自治体との関係では、都道府県、政令市、中核市、特例市には温暖化対策計画策定が義務づけられ、それ以外の市町村にはなく、あるのは公共施設実行計画の義務だけです。従って、自治体全体の目標が皆無の所がほとんどだと最近知りました。

新潟県には世界一の規模の柏崎刈羽原発があり、再稼働問題は緊急課題です。県が設置した「福島原発事故検証委員会」は全国唯一のもので、原発推進勢力からの圧力のなか奮闘中です。また、原発から30㎞圏内の自治体にも「事前了解権を」と運動する超党派議員の会や、県内全域での署名運動などが粘り強く続けられています。来年は県知事選挙です。

私ども十日町・津南地域研では、十日町市エネルギー政策課の取り組みを学ぶ等、エネルギー問題連続講座を8年間開催しています。新刊の『グリーン・ニューディール』を読み、気候危機打開の道筋に確信と希望が持てました。人口減少が続く地域の活性化策としても議論を深め、自治の力を発揮していきたいと思っています。

桑原 加代子
  • 桑原 加代子(くわはら かよこ)
  • 十日町・津南地域自治研究所事務局長 自治体問題研究所理事