そろそろ“店じまい”?を考えている爺さんのつぶやき

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古希を契機に、2019年3月、47年間(正規35年、非正規12年)勤務した役所を辞めました。年齢も考え、今後も関わり続ける分野は何かを整理したときに、①長年従事してきた年金、②安全衛生委員として取り組んできた働く者の健康問題、③地方自治、地方財政、の3分野を選択しました。

喜寿間近、最近は身体ばかりではなく、頭の動きも鈍くなり、そろそろ“店じまい“かなと思いつつ本稿を書いています。

自治体問題研究所という“泥沼”にはまって半世紀。大学時代にお世話になった先生が神奈川自治体問題研究所初代理事長で、就職した某市役所でその弟氏が労働組合の委員長を務めていました。その2人の“甘い言葉”に誘われて足を踏み入れましたが、平凡な職員生活を送っていたら決して出会うことのなかったたくさんの人と巡り合い、人生を豊かにしていただきました。感謝感謝です。現在は、自治体学校、議員研修会などで地方財政を学び、まちの財政を探検し、財政を身近なものにしたいと考えて、活動しています。

前回の直言(2023年3月号)は、「財政勉強会のネットワークづくり」を提案しました。

今回は「社会保障の財源は消費税だけ!?」

物価高騰から国民生活を守るため、消費税の減税や廃止を求める動きが活発化しています。しかし政府は「消費税は社会保障の財源だから減税はできない」と平然と答えます。社会保障の財源なら仕方がないと思わされがちですが、本当なのでしょうか?

消費税法を見ると、第一条第2項に「消費税の収入については、地方交付税法(略)に定めるところによるほか、毎年度、制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付費並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てるものとする」とあります。税務大学校のテキスト「消費税法」によれば、この第2項の導入により消費税が「社会保障目的税化」したと記載されています(7ページ)。

1989年にスタートした消費税は、一般経費に充てる目的をもって課税される普通税であり、特定の経費に充てる目的をもって課される目的税ではありません。

この第2項は、「第一条の見出しを『趣旨等』に改め、同条に次の一項を加える」として、2012年8月の法改正で追加されたものです。「税と社会保障の一体改革」の一環として定められたものです。

普通税である所得税法や法人税法、相続税法などの第一条の見出しは「趣旨」で、内容は納税義務者、課税所得(財産)の範囲、税額の計算の方法、申告、納付及び還付の手続き並びにその納税義務の適正な履行を確保するため必要な事項を定めるものとするというもので、第2項はありません。消費税法も第1項は同様の内容ですが、第2項が追加されたのです。

第2項は、消費税の収入は地方交付税の財源(消費税収入の19.5%)と社会保障の経費に充てるとしているだけで、社会保障の経費を消費税だけでまかなうことを規定しているわけではありません。消費税減税の財源は、大企業や富裕層に応分の負担を求め、法人税や所得税などの普通税を充てればよいのです。

税金は負担能力に応じて納めるという原則からすると、消費税は広く・厚く負担を強いる最悪の税金ではないでしょうか。

仕組みやカラクリを知り、自信をもって要求実現の声を上げましょう。

内山 正徳

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