【論文】多様な働き方・生き方を尊重する社会へ─勤労者皆保険・地域共生社会を中心に


はじめに

戦後順次構築されてきた社会保障制度は、その時々の人々の働き方や生き方を反映しながら展開してきました。国民年金の第3号被保険者制度や健康保険の被保険者・被扶養者制度などに表れているように、夫が労働者として働くという勤労観や、妻が家事・育児を中心的に担う性別役割分業を前提とした家族観が、社会保障制度の構築にも色濃く反映されているのは周知の通りです。

しかし、21世紀に入って20年以上経過した現代、雇用されて労働者として働くという勤労観や、適齢期を迎えた男女が夫婦となり子どもを設けるという結婚観・家族観は、もはや大多数の人々に共有できる価値観ではなくなってきており、人々の価値観の多様化ははるかに進んでいるのが実態です。少子高齢化や長寿命化ともあいまって、こうした変化に制度がついていけておらず、制度の谷間を生み出し十分な保障が及ばない人々を生み出しています。

また、地域社会においても「共生」や「協働」などと、さかんに住民相互の助け合いが奨励されています。それぞれが居住するまちで、多様な価値観をもつ人々が真の意味で「共生」し「協働」できる基盤が整っているのか、多様性を尊重した地域社会が実現できているか、改めて検証が必要かと思います。

社会情勢の変化に対応し、あらゆる価値観を包摂する多様性を前提とした社会保障制度が求められていること自体に異論を唱える人はいないでしょう。本稿では全世代型社会保障構築会議(以下、構築会議)の議論の中間整理(2022年5月17日。以下、中間整理)の柱のうち「勤労者皆保険の実現・女性就労の制約となっている制度の見直し」と「『地域共生社会』づくり」の二つについて、構築会議での検討状況を整理します。そして、これらのテーマがなぜいま検討されなくてはならないのか、今後検討されるべき論点などについて整理し、多様な働き方・生き方を尊重する社会の姿を構想してみたいと思います。

中間整理の要点働き方に中立的な社会保障・税制

ではまず、「勤労者皆保険の実現・女性就労の制約となっている制度の見直し」についての検討状況を整理します。

「勤労者皆保険」という用語は、岸田文雄首相が2021年10月8日に行った所信表明演説に出てきます。以下引用します。

第四の柱は、人生百年時代の不安解消です。将来への不安が、消費の抑制を生み、経済成長の阻害要因となっています。

兼業、副業、あるいは、学びなおし、フリーランスといった多様で柔軟な働き方が拡大しています。大切なのは、どんな働き方をしても、セーフティーネットが確保されることです。働き方に中立的な社会保障や税制を整備し、「勤労者皆保険」の実現に向けて取り組みます。

この所信表明を受ける形で、構築会議では「勤労者皆保険の実現」がテーマの一つとなりました。第2回会議(2022年3月9日)では「当面の論点」として、①厚生年金・健康保険の適用拡大、対象範囲を規定する各要件等の検討、②さらなる勤労者皆保険の実現に向けた方策と論点、③フリーランスやギグワーカーへの社会保険の適用、の三つが提示されました。

また構築会議ではあわせて「女性の就労の制約となっている制度の見直し」もテーマに掲げ、106万円の壁、130万円の壁など、既婚女性の働くインセンティブを阻害する仕組み(社会保険や企業慣行等)の問題についても「当面の論点」として提示しました。

中間整理ではこれら二つのテーマを一括して整理しました。まず「勤労者皆保険の実現」では、働き方の多様化に対応し、働き方に「中立」な社会保障制度の構築の必要性を指摘します。しかしその具体策としては、2020年に成立した、①短時間労働者を被用者保険の適用対象とすべき事業所の企業規模要件について、段階的に引き下げる(現行500人超→100人超→50人超)、②5人以上の個人事業所に係る適用業種に、弁護士、税理士等の資格を有する者が行う法律又は会計に係る業務を行う事業を追加する、③厚生年金・健康保険の適用対象である国・自治体等で勤務する短時間労働者に対して、公務員共済の短期給付を適用することを内容とした年金制度改正法に基づき、被用者保険(厚生年金・健康保険)の適用拡大を着実に実施することのみが記されており、企業規模要件の撤廃を含めた見直しや非適用業種の見直し、フリーランス等の社会保険の適用については今後の検討課題としています。

また、「女性の就労制約となっている制度の見直し」に関しては、前述の被用者保険の適用拡大は「130万円の壁」を消失させ、また「106万円の壁」についても最低賃金の引き上げによって解消されるとして、いずれは働き方に中立な社会保障や税制になる見通しを示しました。また配偶者の収入要件がある企業の配偶者手当については労使間で交渉し決定すべき労働条件であることから、「労使において改廃・縮小に向けた議論が進められるべき」との見解を示すにとどまりました。

中間整理がまとめられた後に開催された第6回会議(2022年9月7日)では、「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太方針2022、2022年6月7日閣議決定)で示された方向性を加味した「主な検討項目」が示されました。その項目の一つに「働き方に中立的な社会保障制度構築関係」として、被用者保険に係る企業規模要件の撤廃を含めた見直し、非適用業種の見直し、フリーランス・ギグワーク等の被用者性、より幅広い社会保険適用の在り方について、等を検討することとされています。

勤労者皆保険構想、その先の展望は

まず、勤労者皆保険については、これがどのような問題認識のもとに提唱されてきたのかをふり返る必要があります。

勤労者皆保険構想が初めて発表されたのは、2019年5月21日、自由民主党政務調査会による「人生100年時代戦略本部取りまとめ~人生100年時代の社会保障改革ビジョン~」(本部長・岸田文雄政調会長(当時))です。この中の「勤労者皆社会保険」という項目で、「企業で働く者は雇用形態を問わず社会保険に加入できるようにする「勤労者皆社会保険」を中小企業等への影響に配慮しつつ、実現するべき」と述べ、企業で働く者をすべて社会保険に包摂するという構想が表明されています。

また、厚生労働省が開催した「働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する懇談会」も同時期に開催されており、懇談会の「議論のとりまとめ」(2021年9月20日)では「社会保険制度は、こうしたライフスタイルの多様性を前提とした上で、働き方や生き方の選択によって不公平が生じず、広く働く者にふさわしい保障が提供されるような制度を目指していく必要がある」と指摘しています。そして、短時間労働者に対する適用範囲を拡大すること、適用事業所の範囲を拡大すること、複数事業所就業者に対する適用、雇用類似の働き方への対応について、の4項目についてさまざまな調査結果を参照しつつ検討が加えられ、問題点の指摘と制度の見直しの方向性に言及されています。前2者に関しては上述のように2020年年金制度改正法で一定の対応がなされましたが、後2者については具体的な解決策が打ち出されないまま、今後の検討課題とされています。

このように、企業で働く者は雇用形態を問わず社会保険に加入できるようにするべき、という多様な働き方に対応した見直しの必要性とその方向性については明確にされており、その方向性については妥当なものであるといえるでしょう。しかし、現時点において具体的な解決策が見出しづらいのは、解決すべき課題それぞれに多くの関係者との間で丁寧に議論を重ねて合意を得ていくプロセスが不可欠であるからだと考えられます。

たとえば次のような問いが考えられますが、どのような回答を用意できるでしょうか。

・社会保険適用を拡大すれば、事業主負担分の増大を招き、特に零細事業者の経営に与える影響は小さくないと考えられます。

・人手を必要とする特定の業種の事業主に負担が偏りがちです。機械化が進み、人手をあまり必要としない業種には負担を求めなくてもよいのでしょうか。

・社会保険適用を強化すればするほど、事業主負担分逃れのために雇用でない働き方を広げることにならないか、懸念がぬぐえません。

・被用者も「130万円の壁」「106万円の壁」を意識し、社会保険適用をためらい、就業調整が行われる状況が解消されているとはいえません。

・複数事業所就業者の場合、その勤務実態の把握の方法、また技術的に可能なのか、明らかではありません。

・フリーランスの労働者性の問題について、自営業との区別ができるでしょうか。

・フリーランスの業務委託費に対し、保険料の賦課徴収はどのように行うべきでしょうか。

・雇用(短時間労働)と雇用でない働き方(フリーランス)とが混在している場合、これらをどのように通算すべきでしょうか。

これらの問いを見ると、従来の社会保険制度の枠組みをいったん離れて、自由な発想のもとにゼロベースで考えていかないと解決策が導き出せそうにない課題が山積しています。しかし、多様な働き方・生き方を前提とした、働き方に中立な社会保険制度を構築しようとするのであれば、これらの問いへの回答は不可避であるはずです。

また、社会保険の適用要件(労働時間要件(週20時間以上)、賃金要件(月8万8000円以上)、勤務期間要件、学生除外要件)を維持するのかについてもさまざまな考え方があると思います。あくまで私見ですが、1分でも雇用されて働くのであれば社会保険を適用する、という考え方もとり得るはずです。また雇用でない働き方であっても、フリーランスの報酬(業務委託費)はすでに源泉所得税や消費税としては捕捉されているのですから、保険料の算定と徴収を税と一体的に行うことも技術的には可能であると思われます。保険料の通算についても、日雇健保のように日雇健保手帳に健康保険印紙を貼るという伝統的な方法はいまさら採用しにくいと思いますので、ICカードの活用などデジタルな方法であれば、倫理面や個人情報保護の観点からの懸念をクリアする必要はありますが、技術的には可能ではないかと思います。

なお構築会議の議論の方向性として、零細事業者への配慮については言及がなされていますが、事業主負担を全面的に解除する方向での検討はなされておらず、むしろさらなる負担を求める方向であることは、重要な点として確認しておく必要があるでしょう。人手を多く必要とする一部の産業に負担が偏るという課題については、法人税としての社会保障税の創設や、事業規模と事業主負担分との比率に応じた産業間での調整金制度を新設するなどして対応することも考えられるでしょう。

また、事業主負担を嫌った短時間雇用からフリーランスへの安易な切り替えをさせないためには、雇用、委託のいずれであっても事業主負担が変わらない制度設計が必要です。現状でも、雇用からフリーランスへの切り替えを促進する問題は消費税制に内在しています。消費税のかからない人件費からは控除できず、消費税のかかる委託費からは控除できるという消費税制の問題もあわせて解決していく必要があるように思います。

女性の就労を制約する制度は見直しを

国民年金の第3号被保険者制度や健康保険の被扶養者制度は、外部からの収入のない、または少ない主婦(主夫)に対する所得保障や医療保障を目的として設けられた制度です。しかし、これらの制度はいったん雇用から離れた既婚女性の就労を通じた社会復帰や、長時間の勤務を控えるなどの雇用を妨げる制度として事実上機能してしまっていることは従来から指摘され続けてきました。「議論のとりまとめ」でも、年収130万円以上や月額8万8000円以上(年間106万円、2022年10月から100人超の適用事業所)という社会保険適用要件の存在が、これらを上回らないようにするための就業調整の要因として挙げられると指摘しています。女性の就労制約を取り除く意味でも、適用要件の見直しに切り込むことが必要なのではないかと思います。

とはいえ現在、最低賃金は生活賃金としてはまだ不十分ではあるものの、近年大幅な引き上げが続いています。そのため、年間106万円や130万円を超えないように働くことはいよいよ困難になるので、すすんで就業調整をする者は減少していき、適用要件を見直さずともこの問題はいずれ解消されるとの見方がなされているようです。

ただ、配偶者控除・配偶者特別控除や企業の配偶者手当など、就業調整を誘引する制度が他にもまだ残っています。社会保障に関して検討するための会議体で、企業の配偶者手当の見直しにわざわざ言及するのは、就業の妨げになるような制度は官民問わず撤廃していきたいという姿勢の表れであり、中立的な制度という観点からも、また企業の労働力確保の観点からも妥当であるといえるでしょう。

中間整理の要点「地域共生社会」づくり

次に、「地域共生社会づくり」の検討状況について整理します。

厚生労働省「地域共生社会のポータルサイト」によると、「地域共生社会」とは「制度・分野ごとの『縦割り』や「支え手」「受け手」という関係を超えて、地域住民や地域の多様な主体が参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えてつながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく社会を指しています」という説明がなされています。

この「地域共生社会づくり」について、構築会議の「当面の論点」としては、孤独・孤立に苦しむ方への対策と、独居の困窮者・高齢者の住まいの問題について焦点化し検討することが示されました。

中間整理では、孤独・孤立や生活困窮の問題を抱えた人や世帯は、高齢者だけでなく全ての世代において増える状況にあり、「こうした人々が地域社会と繋がりながら、安心して生活が送れるようにするため『地域共生社会』づくりに取り組む必要がある」との認識を示しました。具体的な対応としては、ソーシャルワーカーによる相談支援、多機関連携による総合的な支援体制の整備、地域課題の解決のために住民同士が助け合う「互助」の機能の強化、などが示されています。また住まいの問題については、新型コロナ禍での住居確保給付金へのニーズなどに触れつつ、「住まいの確保の支援のみならず、ICTも活用しつつ、地域とつながる居住環境や見守り・相談支援の提供も含めた検討」を求めています。

構築会議第6回会議で示された「主な検討項目」では、「その他」という項目に「地域共生社会」が位置づけられ、「独居の困窮者・高齢者等が、地域社会と繋がりながら安心した生活を送るための『住まい』の確保」等を検討することが明記されています。

断らない支援、伴走支援、多機関協働重層事業を担うのは非正規職員

「地域共生社会」は2015年頃から見られるようになった用語であり、その後閣議決定(「ニッポン一億総活躍プラン」)や種々の検討会等を経て、社会福祉法の改正等で政策化されてきたという経過があります。

2020年6月に改正社会福祉法が成立し、この重要な柱である重層的支援体制整備事業(以下、重層事業)が2021年4月から施行されています。これは市町村全体の支援機関・地域の関係者が断らず受け止め、つながり続ける支援体制を構築することをコンセプトに、「属性を問わない相談支援」、「参加支援」、「地域づくりに向けた支援」の三つの支援を一体的に実施することを必須にしています。そして、これら三つの支援を通じ、「アウトリーチ等を通じた継続的な伴走支援」、「多機関協働による支援」を加えた事業を一体的に実施するものです。

重層事業は市町村の任意事業であり、市町村が直営で、あるいは市町村から委託を受けた法人が実施することになっています。また、直営、委託にかかわらず、この相談業務には高度な専門性を有したソーシャルワーカーを備えておかなければ、重層事業の根幹をなす断らない支援、地域づくり、アウトリーチ、伴走支援、多機関協働などうまく機能しません。しかし、国や都道府県からの交付金の額は正規職員の人件費をまかなえるほどのものではなく、非正規職員を充当して業務にあたらせているのが実態です。高度な専門性を求めるのであれば、その金銭的評価の妥当性が問われます。

介護福祉サービスの互助への「移管」のねらいが見え隠れする地域共生社会

一方で地域共生社会の推進は、コストのかかる既存の介護福祉サービスを、住民の善意に依存し、より安上がりの互助に置き換えようとするねらいが見え隠れしていることにも留意しておかなくてはなりません。介護保険制度では要支援1・2高齢者の訪問・通所サービスを介護予防・日常生活支援総合事業へ2017年に移管しました。この際、住民ボランティアを主体とするサービス類型を新設しましたが、「訪問型サービスB」では724事業所・団体、「通所型サービスB」では2012事業所・団体にとどまるなど、当初の期待通りには介護サービスの相互扶助への「移管」が進んでいないことは明らかです(株式会社エヌ・ティ・ティ・データ経営研究所「介護予防・日常生活支援総合事業及び生活支援体制整備事業の実施状況に関する調査研究事業報告書」2020年3月)。

今後介護サービスをさらに縮小し総合事業対象者を拡大するためには、住民ボランティアとなりうる地域の担い手を先に「養成」しなければ、住民相互の助け合いへの「移管」は達成できません。だからこそ躍起になって地域共生社会を推進しようとしているのではないかとも疑われます。総合事業のさらなる拡大は自治体財政への影響が大きく、このこと自体が地域共生社会の推進の原動力にもなりえます。住民が善意で助け合いを頑張っていたらいつの間にか介護福祉サービスの代替まで担わされていた、という事態を招くおそれもあるため、注意が必要だと思います。

地域に強く求められる自主性と多様性の尊重

わたしたちはそれぞれの役割を果たしながら、人と人との関係性の中で、他者との良好な関係を構築しながら生きています。孤独・孤立や生活困窮の問題は、この良好な関係性が損なわれたところで生じる問題であるともいえます。この文脈でいう「地域共生社会づくり」とは地域とのつながりが希薄な人々を、その人に寄り添いとことんつきあいながら支援していく伴走支援を行う専門職や、支え合うことを厭わない地域住民を通じて、必要とする社会資源に結びつけ、課題解決を図ろうとするソーシャルワークであると表現できるのではないかと思います。

孤独・孤立した人々を放置せず、地域で受け止めようとする気概自体に異論はありません。しかし、孤独・孤立した人々を受け止める地域力の有無によってその人の命運が左右されるとすれば、自治体間格差が露わになり、かえって一極集中と過疎化を促進させ、地域創生に逆行する結末にならないか、という視点は持っておくべきではないかと思います。そして、どこに住んでいようとも生存権は無差別平等に保障されるべきであり、国は市町村ごとの保障水準の格差が拡大する状況を、市町村の責任に転嫁して座視してはならないと考えます。

住民相互の助け合いは、住民の年齢構成の偏りや生活の豊かさ(金銭的・時間的な余裕)に多分に影響を受けるものです。余裕のない人々同士で支え合うことなど到底期待できませんし、高齢化が極端に進んでいる地域だと、住民相互に支え合う気持ちがあったとしても現実的にできることには限界があるわけです。どんなまちに暮らしているかによって助かる、助からないが決まるとすれば、若い人が比較的多く、より豊かな暮らしやすいまちに住民は静かに移動していくことになりましょう。

今後こうした施策の推進により、福祉課題に正面から取り組もうとする自主性の高い自治体と、何もしない自治体とでは格差は広がる一方だと思います。若い世代こそが暮らしやすい豊かなまちづくりに取り組むことが、今後の持続可能な自治体運営に求められるのではないかと思います。その意味で、たとえば「小さくても輝く自治体フォーラム」の各自治体における、広く住民福祉の向上を図る取り組みや、若い世代を呼び込む知恵などは参考になるのではないかと思います。多様性を尊重し、多様な価値観を受け入れる寛容なまちこそ、人々が集い活気が生まれ、つながりを維持することのできるまちになるのではないでしょうか。

なお余談ですが、人々の関係性は地域だけにとどまらず、現在はインターネットを介した趣味の交流なども盛んです。将来的には、地域には関係性の軸足をもたないがネット上にはあるという人々の支え合いをどのように構築するのか、ソーシャルワーク専門職はこうした人々にどのように接点を持てるのか等、真面目に考えなくてはならない時期がもうすぐ先に到来しているようにも思います。人間関係のデジタル化に「地域」福祉はどのように応えようとするのか、あながち奇問ではないようにも思いますが、いかがでしょうか。

【参考文献】

厚生労働省「地域共生社会のポータルサイト」

https://www.mhlw.go.jp/kyouseisyakaiportal/

濵畑 芳和

1976年鹿児島県生まれ。専門は社会保障学。修士(法学)。自治体問題研究所理事、総合社会福祉研究所理事、特定非営利活動法人秋桜舎理事。共著に『雇用・生活の劣化と労働法・社会保障法 コロナ禍を生き方・働き方の転機に』(日本評論社、2021年)、『新版 基礎から学ぶ社会保障』(自治体研究社、2019年)など。