国民を切り捨てる「社会保障と税の一体改革」の本音

    書籍名 国民を切り捨てる「社会保障と税の一体改革」の本音
    著者名等 芝田英昭 (著)
    価格 ¥1,760(税込)
    発行年月日: 2012年2月1日
    ISBN-10 4880375837
    ISBN-13 9784880375830
    C-CODE C3036
    本のサイズ A5ソフトカバー

書籍の内容

「改革」の裏に隠された「財界の要求」・「政府の戦略(社会保障の市場化)」を明らかに。真に国民がもとめる改革の方向性を示す。社会保障運動の一助に!

◎プロローグ 「社会保障の市場化」そのもくろみを読みとく。

◎第1章 新自由主義路線をあらわにする財界・政府の社会保障戦略
財界の社会保障戦略が、政府の社会保障戦略にどのように影響を与えているのか、どのような圧力を与えたのかを分析。

◎第2章 厚労省「社会保障制度改革の方向性と具体策」は何をめざすのか
政府・与党の社会保障と税の一体改革の素案になった文書「厚労省の具体策」が、財界の圧力を受容し作成されたことを詳らかにし、加えて同文書の批判的検討を行う。

◎第3章 2011年介護保険法改正と地域包括ケア
政府が目指す地域包括ケアの本音である「サービス供給における軽度者外し」「地域の名のもとに社会保障を相互扶助や自助に改変」「介護保険財政の縮小」などについて分析し、介護保険の改善の方向性を示す。

◎第4章 国保の危機と曲がり角に立つ地域医療
新自由主義経済の下で、医療保険制度の根幹をなす国民健康保険が、保険料を支払えない者を排除する現状(国保資格証明書世帯、無保険者)を分析。保険原理から人権原理への改革の方向性を示す。

◎第5章 新自由主義の実験場ニュージーランド ―教訓を日本の未来に活かすために―
かつて「南半球の福祉国家」と称されたニュージーランドが、徹底した規制緩和・新自由主義路線を貫いた結果、格差の拡大、若者の自殺の増加、犯罪の増加へと繋がった。ニュージーランドの現状の分析は、日本の未来を占う上で極めて有効である。

◎補論 原子力発電所立地と住民生活 ―福井・美浜町からの報告(1986)― 予告された社会福祉の後退
原発をいったん立地すると、増設をしない限りは地方財政が維持できないカラクリを日本で初めて分析。さらに、原発は立地住民の生活や健康を破壊し、まさに反福祉的戦略であることも明らかにする。

目次

プロローグ 目論(もくろ)まれる「社会保障の市場化」

第1章 新自由主義路線を露わ(あらわ)にする財界・政府の社会保障戦略
はじめに 
1.財界の社会保障戦略 
1)経団連の成長戦略2010  
①法人税減税と消費税アップが前提
②社会保障分野の産業化戦略 
③税・財政・社会保障の一体改革 
2)経済同友会の医療政策 
①公的医療保険適用範囲の適正化と医療産業化への布石 
②75歳以上高齢者の医療制度と消費税 
③74歳以下の医療保険は私保険化、医療保険の地域保険へ統合 
3)経済同友会の介護保険政策 
①産業化ありきの提言 
②保険給付対象の限定と自己負担割合の引き上げ 
③施設整備のあり方 
④在宅サービスへの誘導 
⑤保険外サービスの拡大と介護労働者の賃金問題 
4)経済同友会の2020年の日本創生 
①自主・自立・自己責任の精神と軍事大国化 
②地域主権型道州制の導入でナショナルミニマムの破壊 
③消費税増税と法人税率の引き下げ、国民生活者番号(納税者番号)の導入 
④年金、医療、介護 
⑤子育て支援 
2.政府・民主党の社会保障戦略 
1)政府の産業構造ビジョンに見る社会保障戦略 
①日本経済の行き詰まり
②医療・介護・高齢者生活支援関連サービス産業の創出 
2)「新しい公共」の本質 
①「新しい公共」のまやかし 
②企業が「新しい公共」の担い手 
3)新成長戦略は何をめざすのか 
①強い経済、強い財政、強い社会保障 
②ライフ・イノベーションによる健康大国戦略 
4)皆保険体制批判と医療産業化 
①皆保険体制の批判 
②“准病院”としての医療生活産業 
5)厚労省が分析する社会保障の現状と課題は 
3.矮小化された社会保障制度の基本的考え方 
1)民主党の「税と社会保障改革」
①社会保障取り巻く情勢分析と改革の方向性としての産業化 
②社会保障番号制が「納得の得られる社会保障制度」なのか 
③社会保障を支える財源としての「消費税」 
2)政府の社会保障ビジョン 
①社会保障改革の合意はできているのか 
②社会保障改革の3つの理念 
③社会保障の中心は社会保険 
4.政府・民主党の社会保障戦略の危うさ 
1)市場化への布石・・・現物給付から現金給付へ2)「新しい公共」の怪 
3)営利企業参入と「レモンの原理」 
4)地域主権国家構想は、生存権をなし崩しにする 
5)消費税増税に道筋を付ける財源論

第2章 厚労省「社会保障制度改革の方向性と具体策」は何をめざすのか 
はじめに 
1.救貧施策への後戻り 
2.社会保障制度の担い手は「新しい公共」で良いのか 
3.個別分野改革の方向性 
1)子ども・子育て支援 
2)就労促進 
3)医療・介護 
4)年金 
5)貧困・格差 
6)低所得者対策 
7)障がい者施策 
4.消費税増税への道筋を付けるのがねらい

第3章 2011年介護保険法改正と地域包括ケア 
はじめに 
1.介護保険は「介護サービス費の支給」・・・医療保険との違い 
2.なぜ、病院経営には、営利企業が参入できないのか 
3.営利法人参入の帰結 
1)飛躍的に伸びた営利法人数 
2)介護分野の人件費比率と非常勤化 
4.介護保険法改正と地域包括ケア 
1)「地域包括ケア」の推進の目玉「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」 
2)改正「高齢者の居住の安定確保に関する法律」の成立(2011年4月27日)のねらい 
3)介護予防・日常生活支援総合事業は軽度者外し 
4)介護従事者による「たん吸引等の医療行為」の実施は、医療・看護体制の不備を放置しかねない 
5.介護保険改正の方向性を探る 
1)介護労働者の専門性とは 
2)まずは、介護保険の抜本的改正を

第4章 国保の危機と曲がり角に立つ地域医療 
はじめに 
1.国保の危機 
1)国保加入世帯(世帯主)の職業構成の変化 
2)国保加入世帯の貧困化 
3)なぜ国保保険料は高いのか 
①事業主負担がない 
②資産割や応益割の存在 
③国庫負担の減少 
4)政府が狙う国保広域化の問題点 
5)生存権を否定する・・・短期被保険者証、国保資格証明書の発行、財産の差押え等 
①ペナルティとしての短期被保険者証、国保資格証明書発行 
②給付の差し止め、及び財産の差し押え 
③一部負担金による受診抑制 
④一部負担金の減免・支払猶予 
6)国保改革の視点

第5章 新自由主義の実験場ニュージーランド ―教訓を日本の未来に活かすために― 
はじめに 
1.福祉国家から規制緩和への背景 
2.1980年代以降の改革の流れ 
1)労働党政権(1984年7月~90年10月)による規制緩和・経済改革 
2)国民党政権(1990年11月~99年11月)による規制緩和・社会保障改革 
3)労働党等連立政権下(1999年12月~2008年11月)の改革 
4)2008年総選挙後の国民党政権下の社会保障政策(2008年11月~現在) 
①小企業における「90日間の試験雇用」導入とその拡大 
②大企業優遇の2週9日制を導入 
③ACC(事故災害補償制度)負担増へ 
④就労促進の福祉改革 
⑤貧困な子どもの増加 
⑥GST(物品サービス税=消費税)を12.5%から15%に増税 
⑦貯蓄年金(Kiwi Saver=KS)の強制加入検討 
⑧所得手当の長期依存に警鐘 
3.ニュージーランドは、なぜ実験国家と呼ばれるのか 
4.規制緩和はニュージーランドに何をもたらしたのか 
1)頭脳流出(brain drain)をどう見るのか 
2)極めて高いニュージーランドの犯罪遭遇率 
3)格差の拡大と子どもの貧困化 
4)若者の自殺率の上昇から見えてくるもの 
5)失業率の上昇 
おわりに

補論 原子力発電所立地と住民生活―福井・美浜町からの報告(1986)ー
「予告された社会福祉の後退」 
はじめに 
1.美浜町における原子力発電所立地の経過 
2.美浜町における原子力発電所立地と住民生活 
1)原子力発電所立地と人口構造 -建設にともなう人口増と運転後の減少傾向ー 
2)原子力発電所立地と産業構造 -原発立地は地域にとって一過性的効果のみー 
3)原子力発電所立地と財政効果 -原発立地がもたらす町財政の浪費性・非効率性― 
   a 美浜町一般会計歳入の特徴 -税収面での効果はないに等しいー 
   b 美浜町一般会計歳出の特徴 -強いられた支出― 
   c 原子力関係“交付金”の果たした役割 -最も便益を受けるのは「独占資本」― 
4)原発立地と行政水準 一過性的便益の先にあるものー 
むすびにかえて ―予告された社会福祉の後退―

エピローグ

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