大都市における自治の課題と自治体間連携―第30次地方制度調査会答申を踏まえて

    書籍名 大都市における自治の課題と自治体間連携―第30次地方制度調査会答申を踏まえて
    著者名等 西村 茂, 廣田 全男, 自治体問題研究所 (編)
    価格 ¥1,980(税込)
    発行年月日: 2014年2月1日
    ISBN-10 4880376124
    ISBN-13 9784880376127
    C-CODE
    ページ数 172ページ
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書籍の内容

いま焦点の大都市制度改革、自治体間連携を 住民自治の視点から解き明かす待望の新刊書

「大都市制度、特に指定都市制度は、特別市運動を断念した大都市側の『妥協の産物』であり、大都市固有の制度ではなく大都市特例として制定された暫定的な制度であったため、当初から『真の』大都市制度を求める動きを孕んでいた」

「大都市制度改革の主張は、経済のグローバル化や少子高齢化・人口減少社会の到来を背景にして行われている」「今日の大都市制度改革構想は、構造改革路線の中で生じたものであり、経済成長と行政改革・経費削減の二点セットで打ち出され、住民自治の視点が極めて弱いものである。短期的な成長戦略の手段として制度改革を行うことの問題性、また、政局の中で成立した大都市地域特別区設置法などを考えると、大都市制度改革の必要性とその方向性を、日本の地方制度全体の中でじっくり考えてみる必要があり、性急に大規模な制度改革をしてしまえば、住民自治の視点からも住民の福祉の観点からも後悔することになろう」

これらの問題は「大都市のみならず、地方自治体全体の問題としてサービス提供体制の持続可能性の問題に直面する。第30次地制調でも基礎自治体の問題が取り上げられ、…本書でもそれを検討の対象にしている。それは大都市制度の見直しは、他の基礎自治体や広域自治体のあり方に影響を及ぼさざるを得ないからである」(廣田全男)

目次

はしがき            
第1章 大都市における自治の課題 ………………… 西村 茂
-第30次地方制度調査会答申をどう読むか-
  1. はじめに
  2. 第1節 大都市に関するアプローチ
  3. 第2節 大都市制度の基本的論点に関する議論
  4. 第3節 改革に関する提案
  5. むすびに
第2章 なぜ大都市制度改革なのか ………………… 廣田全男
-大都市をめぐる現況と第30次地制調答申-
  1. はじめに
  2. 第1節 「人口減少社会」と大都市制度改革の必要性
  3. 第2節 大都市制度改革の方向性
  4. 第3節 基礎自治体と大都市
  5. おわりに
第3章 指定都市制度の見直し ……………………… 柏原 誠
-区役所改革と住民自治の観点から
  1. はじめに
  2. 第1節 指定都市における住民自治の構成
  3. 第2節 指定都市における「住民自治」の現状-2011年の調査に基づいて-
  4. 第3節 大阪市政改革と住民自治
  5. 第4節 第30次地制調答申と指定都市の住民自治
  6. おわりに
第4章 指定都市税財政の現状と改革の課題 ……… 初村尤而
  1. はじめに
  2. 第1節 指定都市財政の仕組み
  3. 第2節 指定都市の「厳しい大都市財政」論と改革要望
  4. 第3節 大都市税財政制度改革の論点
  5. さいごに
第5章 中核市・特例市制度の統合の意味と課題……角田英昭
  1. はじめに
  2. 第1節 制度統合に係る提言の背景と内容
  3. 第2節 事務・権限の市移譲を現場から検証する
第6章 「大阪都構想」の現況と改革の意味 ………… 森 裕之
  1. 第1節 「大阪都構想」と橋下・維新の会の政治的失速
  2. 第2節 「大阪都構想」の制度設計(パッケージ案)
  3. 第3節 パッケージ案からみる「大阪都構想」の問題
  4. 第4節 「大阪都構想」は大都市制度改革だったのか
第7章 横浜市「特別自治市」構想の検証 ……………渡部俊雄
  1. はじめに
  2. 第1節 横浜市「特別自治市」構想の確定に至る議論の流れ
  3. 第2節 「大綱」に至るまでの特別自治市の必要性をめぐる論議
  4. 第3節 横浜市が構想する特別自治市の問題点
  5. 第4節 私たちの提案づくりのために
第8章 基礎的自治体の行政サービスと自治体間連携、都道府県の役割 ………………………………………… 村上 博
  1. はじめに
  2. 第1節 第30次地方制度調査会答申
  3. 第2節 自治体間連携
  4. 第3節 定住自立圏構想
  5. 第4節 都道府県による補完・支援機能
  6. おわりに
資料1 第30次地方制度調査会答申(抜粋)
2 大都市制度の確立に向けた年表