新型コロナからの教訓

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新型コロナの感染拡大は、私たちの暮らしに大きな影響を及ぼしています。生活に困窮する人、仕事を失った人、適切な医療を受けられない人、救急搬送をたらい回しされた人、さらに残念なことに自ら命を絶った人もいます。地域経済のけん引役である中小企業は、繰り返される自粛によって疲弊し、倒産や廃業も相次いでいます。街を歩く人は少なくなり、空き店舗や空きビルが目立つようになりました。オンラインを通じた人との接点は増えましたが、対面による人とのつながりは希薄になったように思えます。一方、医療労働者や自治体労働者は多忙な日々が続いており、心身ともに疲弊しています。他にも、半導体不足や物価の高騰など新型コロナによる影響は、言い出せば切りがありません。

政府、マスコミ、SNSなどの情報をみると、コロナショック、コロナ倒産、コロナ貧困などの見出しが並び、その内容は新型コロナによって問題が引き起こされたという見解が大半です。しかしながら、それは問題の本質を見誤った見解です。問題の本質をみていくと、生活、貧困、医療・福祉、社会保障、中小企業、食料・農業、雇用・労働、教育、環境、物価などに関わる、いわば放置された社会問題が新型コロナによって露呈したと言えます。言い換えれば、日本社会の歪みが露呈したと言えるかもしれません。

例えば、保健所業務などで自治体労働者の負担が増加し多忙にならざるを得ない状況は、自治体労働者の人員削減や非正規雇用の増加、保健所の統廃合などが背景にあります。適切な医療を受けられないことや救急搬送のたらい回しは、病床数の削減や医療労働者数の削減などが背景にあります。

このように考えてみると、新型コロナによる影響と言われる社会問題は今に始まったことではないことが分かります。つまり、放置された社会問題が、新型コロナによって露呈したと考えた方が適切です。

放置された社会問題に対して、一部の研究者はかねてから各分野の研究を通じて警鐘を鳴らしてきました。また、一部の住民や労働者は、社会運動を通じて警鐘を鳴らしてきました。もちろん警鐘を鳴らすだけでなく、研究や社会運動を通じた解決策も提言してきました。こうした研究や社会運動の声を無視した結果が今日の状況なのかもしれません。

皮肉なことですが、ポジティブに捉えれば、新型コロナは放置された社会問題を露呈するとともに、人と人のつながりが大切なことを再認識する機会となりました。また、研究や社会運動を通じた情報の発信、そこから学び、考え、議論することの大切さも教えてくれています。軽視されてきた人文・社会科学分野の研究は、すぐに成果が出るものばかりではありません。年月をかけた地道な研究は、社会の基盤を創る上で必要不可欠です。そして、社会の基盤を創るためには、社会運動も必要不可欠です。

新型コロナをきっかけに、住みやすい社会を創るためにはどうしたらよいか、それぞれの立場から考え、学び合う必要があるのではないでしょうか。

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