まちの財政を身近なものに ─ 財政勉強会のネットワークを


今年後期高齢者の仲間入りをする、しがない元自治体職員です。

歳を重ねるとともに“お付き合い”の範囲を整理してきました。「まちの財政」、「年金」、「労働者の健康問題」の3点は縁が切れない分野です。在職中(職員、嘱託で47年間)は年金業務に従事した期間が長く(31年間)、それ以外は総務課と教育委員会事務局しかありません。変な履歴ですね。

今回は「まちの財政」に触れることにします。

財政は役所の仕事として従事したことはありません。個人的な興味で係わり始め、かれこれ40年近くになるでしょうか。自治体研究社の書籍を読み、自治体学校や議員研修会、多摩研究所の講座等に参加し、65歳になるときには、静岡大学に科目履修生(地方財政論)として1年間新幹線通学をするなど、学習を積み重ねてきました。

財政は“難しそう”と食べず嫌いの人が多いのですが、少し食べてみると結構おいしくて、新聞やテレビの報道もこれまでとは違った視点で理解することができるようになり、さらに理解が深まるともっともっと楽しくなります。この感覚を多くの人に味わってほしくて、財政講座や勉強会でお話をさせていただいています。

2022年は、1月に相模原市(住民運動団体)、8月に伊勢原市(政党の県央地区議員団)、10月は横浜市で神奈川自治体学校の講座と鎌倉市(住民団体)、11月に小田原市で西湘研究会の講座、12月に湯河原町(地域政党)でお話の機会を得ました。

話の中身は、自治体の役割やしくみ、財政は首長の私物ではない、国と自治体との関係、地方交付税の役割、財政収支の見方、貯金と借金の意味、歳入・歳出の構成と特徴、他自治体との比較、経常収支比率をはじめ各種財政指標の意味と見方、財政調査・分析の勧め、私たちが悔しい思いをしないために、などを参加者、時間割を考慮して組み合わせています。事例を入れながら分かりやすく話し、まちの財政を身近なもの、自分たちのものとして受け止めてもらえるよう心がけています。もちろん、決算カード、財政状況資料集、類似団体比較カードなども必要に応じて使用します。

神奈川研究所が主催する講座の会場は、横浜一極集中にならないように、小田原市など県西部地域でも開催しています。ただ、講座の内容については、入門編とステップアップ編を用意できないかと、参加者アンケートでも指摘されていますが、検討課題のままになっています。

また、自治体研究社の書籍の販売も行います。場合によっては、書籍込みの参加費を設定します。営業も大切な活動ですから。

さて悩みもあります。財政について話せる人が限られていることです。講師の養成は意識的に取り組まないと実現しません。全国の地域研究所ではどのような取り組みをしていますか。自治体問題研究所として養成講座や財政勉強会の開催状況交流会などを企画していただけませんか。

「まちの財政を身近なものに」を旗印に、自治体問題研究所、地域研究所がそれぞれの取り組みを共有、利用できるネットワークを作りませんか。

内山 正徳
  • 内山 正徳(うちやま まさのり)
  • 神奈川自治体問題研究所鎌倉支所 ・自治体問題研究所理事