【論文】建設残土と環境破壊・災害

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京都府、滋賀県、三重県などの残土問題、熱海土石流事故、北海道・北陸新幹線延伸・リニア中央新幹線の残土問題、全国の残土問題と土砂条例の制定状況・法制化を検討します。

はじめに

2021年7月3日の熱海土石流事故で、建設残土(以下、残土)問題がクローズアップされました。

残土は、1990年代から問題となり、国による法規制がないなか、残土の搬入・埋め立てを規制する土砂条例を制定する自治体が相次ぎました。最近でも三重県紀北町と尾鷲市で、首都圏や近畿圏から船で大量に持ち込まれる残土が問題となりました。

筆者は、2006年以降、京都府、滋賀県、三重県などの残土問題に関わったので、それらを紹介するとともに、熱海土石流事故、北海道新幹線・北陸新幹線延伸・リニア中央新幹線の残土問題、全国の残土問題と土砂条例の制定状況・法制化の必要性を検討します。

京都府城陽市・京都市の残土問題

①城陽市山砂利採取地の残土問題

城陽市の東部丘陵地では、1960年代から建設工事用の山砂利採取が始まりました。山砂利採取地の面積は約420ヘクタールと巨大であり、砂利採取量は約1370万立方メートルと近畿圏最大です。しかし、樹木伐採による環境や景観の破壊が問題となり、京都府・城陽市・山砂利採取業者で作る近畿砂利協同組合は、1989年に城陽山砂利採取地整備公社を設立し、採取跡地への土砂の埋め戻しを進めました。現在でも13業者が砂利採取、洗浄・選別、埋め戻しなどの事業を継続しています。

2004年から2005年にかけて、産業廃棄物(以下、産廃)の建設汚泥を石灰やセメントで固めた「再生土」が約16万トンも持ち込まれたことが発覚しました。京都府は搬入した業者を刑事告発しましたが、立証困難で不起訴処分となりました。そこで、京都府は2009年に再発防止に向けて土砂埋め立て規制条例を制定しました。

このように、採取跡地に埋め戻し土として残土が持ち込まれ、公社による搬入土砂の検査でも、最近5年間の検査件数2865件中42件で水銀、ヒ素、鉛、フッ素、六価クロム、シアンなどが土壌環境基準を超えました。

2003年以降、公社が採取地内の地下水を9カ所で調査していますが、2事業所で水銀、ヒ素およびホウ素がここ数年にわたり、地下水環境基準を超えています。また、採取地周辺には、人口8万人の城陽市水道の80%近くを供給する浄水場が3カ所、水源用井戸が17本ありますが、3本の井戸から水銀、6本からヒ素、4本からホウ素、2本からフッ素などが検出されています。しかし、採取地の土壌・地下水汚染調査と対策をしないまま、新名神高速道路やアウトレットモールが建設されようとしています。

②京都市伏見区大岩山の残土崩落事故

標高189メートルの大岩山の南側斜面で残土の不法投棄や無許可造成を理由に工事中だった土砂が、2018年7月の西日本豪雨で崩れました。山頂付近から樹木や竹林をなぎ倒して沢筋を約400メートル下まで土砂が流下し、ため池にたまりせき止められましたが、約10メートル下には民家や幼稚園もありました。この土石流事故を受けて、京都市は2020年に土砂条例を施行しました(写真1)。

【写真1】(上)大岩山頂残土の是正工事(2018年8月26日)。

滋賀県大津市の残土問題

大津市北部の伊香立地区、旧志賀町の和邇地区と栗原地区には、残土捨場、産廃処分場、ごみ焼却施設、一般廃棄物処分場などが15カ所も集中立地しています。これらのなかで特に問題になっているのは、上龍華町の残土捨場と南庄町の残土捨場です。

前者は、関西有数の大規模な比叡山延暦寺大霊園に隣接し、大岩山に残土を不法投棄した京都の産廃業者が、谷間に約60メートルの高さで約30万立方メートルの残土の山を積み上げました。2012年9月の大雨時に土砂が河川に流出する事故を起こし、公害調停の結果、大津市が2億円かけて流出防止工事を行いました。この土砂流出事故を受けて、大津市は2014年に土砂条例を改正しました(写真2)。

【写真2】(下)滋賀県大津市上龍華町の残土捨場(2015年11月4日)。ともに筆者撮影。

後者は、地元の建設業者が谷地田のかさ上げと称して、残土を大量に搬入し、2013年2・3月、残土山の土壌・排水からヒ素、鉛、シアン、フッ素などが環境基準を超えて検出されました。汚染土壌の搬入が疑われ、大津市土砂条例に基づく措置命令で業者が汚染土壌を遮水シートで封じ込める工事を行いましたが、鉛汚染水が河川に流出しています。

2021年7月の大雨により、国道161号バイパス近江神宮ランプ付近で土砂崩れが発生しました。熱海土石流事故に類似し、市内の建設業者が無許可で行った盛り土の崩落でした。

大阪府・奈良県・愛知県の残土問題

①大阪府の残土問題

2014年2月に豊能町で無秩序に積み上げた残土が崩落し、約200メートルにわたり府道や田畑を埋めました。幸いけが人は出ませんでしたが、町内の1200戸が停電し、府道は半年近く通行止めとなり、生活環境に重大な影響を与えました。この事故を契機として2015年に大阪府は土砂条例を施行しました。

2017年10月の台風21号による大雨で、阪和道岸和田サービスエリア付近で土砂崩れが起こり、川がせき止められて増水し、大澤町の府道が冠水し、車4台が水没して通行止めとなり、一人がけがをしました。土砂は、岸和田カントリークラブ内の2ヘクタールもの面積に積まれた残土が崩れたものでした。

②奈良県の残土問題

奈良県葛城市平岡の山林などに土木工事で出た残土がうず高く積み上げられ、付近住民から「つい最近、大阪府豊能町で起きた土砂崩れのように大雨などで崩れないか」との心配の声があがっていました。2014年に奈良県は農地転用の許可条件に違反しているとして、造成業者に対して是正するよう指導しました。

③愛知県の残土問題

2019年に瀬戸市の住宅街で、使われていない土地にリニアの残土という嘘の説明をされて、大量の残土が運び込まれました。建設がれきなどの産廃も混入しており、愛知県警が強制捜査を行いましたが、産廃混入率が低いとして不起訴となりました。業者も行政も放置するなかで、結局地主が約400万円かけて残土を撤去し、公的な残土処分場に搬入しました。

2017年に三重県の不動産業者が訪ねてきて、弥富市の地場産業の金魚養殖池の跡地に「道路より30センチ下までリニアの残土を入れて、水田にさせてもらってもいいですか」と頼んできたので、地主は残土受け入れを認めました。しかし、約2万立方メートル以上の残土を搬入し、10メートルもの山になりました。業者に再三、工事中止と土の撤去を求めましたが、応じないので、2019年に地主は業者に対して残土の撤去と損害賠償を求めて津地裁四日市支部に提訴しました。2020年5月に残土の撤去と110万円の支払いを命じる判決が出ました。さらに、熊谷組が施工した弥冨市新庁舎の残土も含まれていたので、2020年9月に市と熊谷組に対して残土の撤去と150万円の損害賠償を求めて提訴しました。

三重県紀北町・尾鷲市の残土問題

2016~2017年に三重県紀北町で汚染土壌処理施設建設問題が起こり、地元住民の強力な反対運動の結果、建設が阻止されました。しかし、尾鷲市も含めて残土問題が深刻なので、2018~2020年に現地調査を数回実施しました。

残土捨場は次の11カ所にのぼります。

  • ①紀北町名倉地区国道260号峠(写真3)
  • ②紀北町田山地区田山坂(紀伊長島インター)
  • ③紀北町片上地区荷坂峠登り口(国道42号)
  • ④紀北町加田地区一国峠登り口(熊野古道)
  • ⑤紀北町三浦地区鹿焼
  • ⑥紀北町小名倉地区(町廃棄物処分場横)
  • ⑦紀北町荷坂峠(大紀町火葬場横)
  • ⑧尾鷲市三重県総合庁舎横
  • ⑨尾鷲市三木里谷の山
  • ⑩尾鷲市南浦祖父木屋谷
  • ⑪尾鷲市南浦口窄
【写真3】三重県紀北町名倉の残土捨場(2018年6月24日、筆者撮影)。

11カ所の残土捨場の問題点を述べます。

  • (1)これだけ集中している所は珍しい。
  • (2)山林を伐採しており、自然を破壊している。
  • (3)土砂条例がなかったために、写真2に示すように無秩序に堆積されたものが多く、豪雨で土砂崩れしやすく、現に①と②の2カ所で土砂崩れしています。
  • (4)コンクリート片、レンガくず、鉄筋、陶磁器くずなどの建設がれき類の産廃が混入し、廃棄物処理法違反です。
  • (5)残土捨場からは排水が流出している所が多く、水に溶け込んでいる汚染物質量を示す電導度が高く、pH(水素イオン濃度)が③と⑨で、ヒ素が⑨で水質環境基準を超えた所もあり、水質汚濁のおそれがあります。
  • (6)残土は紀北町名倉港と尾鷲港に荷揚げされますが、首都圏と近畿圏から大量の残土が残土運搬船で毎日のように搬入され、年間26万トンにも達します。搬出港は首都圏では神奈川県の横浜港・横須賀港と千葉県船橋港が目立ち、近畿圏は大阪府の岸和田港と堺港などでした。搬入残土は、産廃の建設汚泥に石灰やセメントを加えて固めたものや汚染土壌処理後の土壌などの「再生土・改良土」が多い。

三重県のように土砂条例のない地域は、残土投棄場所として狙われます。紀北町も住民運動と毎日新聞全国版、TBS報道特集、CBCドキュメンタリー・チャントなどのメディア報道を受けて、届出制の土砂規制を内容とする生活環境保全条例を2019年3月に制定し7月に施行しました。また、尾鷲市と三重県も2019年12月に許可制の土砂条例を制定し、2020年4月に施行しました。その結果、紀北町への残土搬入はストップし、残土捨場の法面整備も進み、現在は⑪の尾鷲市南浦口窄の1カ所のみへの残土搬入となりました。

静岡県熱海土石流事故

2021年7月3日は、梅雨前線の影響で東海や関東を中心に非常に激しい雨が降り、午前10時半頃に静岡県熱海市伊豆山逢初川で大規模な土石流が発生しました。9月末現在、死者26人、行方不明者1人、被災建物は128棟、避難者500人以上となっていまます。被害を拡大させる原因となったのは、大量の水を含んで泥流と化した盛り土であり、約2キロメートルにわたり海岸まで流下しました。静岡県の計測によると、崩落した土砂は約5万5500立方メートルであり、その97%を盛り土が占めます。

土石流の原因となった逢初川上流部の盛り土を造成したのは、神奈川県小田原市の不動産管理会社(清算)であり、2006年に土地を取得し、静岡県の土採取等規制条例に基づき、盛り土計画の届出書を2007年に熱海市へ提出しました。届出書によると、盛り土面積は約0・9ヘクタール、土量は3万6000立方メートル強でした。その後、同社は無断で盛り土面積を1ヘクタール強に改変し、2009年に土砂の搬入を開始しました。届出書の盛り土の高さは3段積み・15メートル以内でしたが、実際の盛り土は10段積み・35~50メートルで、盛り土量も計画時の1・5倍の5万4000立方メートルに膨れ上がりました。また、2010年には盛り土に産廃や木くずの混入が判明し、市が撤去を指導しましたが、同社は従いませんでした。

静岡県の土質調査結果によると、「流下し土砂の大部分が盛り土だと裏付けられた」、「土砂に含まれるカルシウムの割合は、盛り土(黒色)が8・3%、地山(黄色)は0・4%と大きく異なった」としました。これは、産廃の建設汚泥にカルシウムの多い石灰やセメントを加えて固めた「再生土や改良土」などの残土が捨てられた可能性を示しています。

また、県は土石流被害のあった9カ所で、土壌汚染対策法が定める26種類の有害物質について調査したところ、うち5カ所で環境基準値の0・9ミリグラム/㍑を超える0・9~1・6ミリグラム/㍑のフッ素が検出され、フッ素を含む固化材が使用された可能性があるとしました。

1976年に施行された静岡県土採取等規制条例は、土採取規制が主たる目的であり、1990年代後半以降に制定された他府県の土砂条例のように許可制の残土を規制するものではありません。規制の弱い届出制であり、罰則も20万円以下と緩いものでした。他府県の土砂条例の罰則は、「懲役2年以下、罰金100万円以下」が多いです。

2021年8月に土石流の被害者らは、盛り土部分の土地所有者らを重過失致死容疑などで熱海署に刑事告訴し、受理されました。9月には、32億円の損害賠償を請求する民事訴訟を静岡地裁沼津支部に起こしました。さらに、10月中にも遺族らは殺人容疑で旧所有者を刑事告訴する方針です。

北海道・北陸新幹線延伸工事の残土問題

①北海道新幹線延伸工事の残土問題

北海道新幹線は現在、札幌から新函館北斗までの延伸工事中で、延長区間212キロメートルのうち約8割の169キロメートルがトンネルです。トンネル掘削工事から発生する残土量は、約2000万立方メートル、うち約3割の650立方メートルがヒ素、鉛、六価クロムなどの有害物質を含む「要対策土」です。

札幌と小樽を結ぶ札樽トンネル工事で出るヒ素などの有害物質を含む要対策土の受け入れ候補地とされた、札幌市厚別区の山本地区と手稲区の金山地区住民は、受け入れ反対と強く反発しています。

2020年10月中旬からトンネル工事が中断した原因は、環境基準をはるかに超える270倍ものヒ素が出たためでした。要対策土4万立方メートルは北斗市村山の採石場跡地の残土処分地に仮置きしていました。

渡島トンネル(33キロメートル)工事でも、10月中旬から中断しました。要対策土が掘り出され、村山処分地の残土仮置き場が満杯になる事態が生じたためです。2021年6月に村山処分地(容量59万立方メートル)に要対策土約17万立方メートルを搬入した段階で、環境基準値を超える劇毒物のセレンが検出され、北斗市の要求で残土搬入を中断しました。

②北陸新幹線延伸工事の残土問題

北陸新幹線延伸(金沢─敦賀間)工事は、2012年に着工し、2023年春開業予定です。しかし、敦賀付近のラムサール条約登録の中池見湿地の一部を通る深山トンネル(延長768メートル)は、2019年1月中旬から掘削を始め、敦賀方面の坑口から20メートルほど掘進した所で、2月15日に環境基準値の約3倍を超えるヒ素を検出したために、16日に工事を中断しました。掘削土約3000立方メートルを搬出し、大津市内の汚染土壌処理施設に運びました。

北陸新幹線延伸(敦賀─新大阪間)計画は、敦賀から小浜、京都を経て新大阪に至る総延長140キロメートルのうち約8割がトンネル区間です。トンネル工事で発生する残土は、少なく見積もっても約880万立方メートルにのぼります。2018年度の京都府内の残土発生量は約409万立方メートルなので、北陸新幹線延伸工事だけで府全体の2年分以上の量となりますが、残土処分地は明らかにされていません。

ルート上の京都府丹波地域と京都市域は、自然由来のヒ素濃度が高く、丹波地域はマンガン鉱山があったくらいマンガン濃度も高いので、有害残土や汚染地下水が大量に発生する危険性があります。また、京都市域や新大阪までの市街地は、地下40メートル以上の大深度地下トンネルとなり、2020年10月に発生した東京・調布市のような陥没や空洞が起こる危険性もあります。

リニア中央新幹線工事の残土問題

JR東海は、2014年に着工し、静岡県以外の6都県で本体工事を進めていますが、各地で事故が相次ぎ、住民との合意も得られず、思うように工事は進んでいません。リニア中央新幹線の東京─名古屋間286キロメートルの8割(229キロメートル)はトンネルで、トンネル口径は14メートルなので、残土量は単純計算しても約3500万立方メートルとなります。これに立坑や斜坑を加え掘削すると約1・5倍に空気で膨張するので、5000万立方メートル以上になります。JR東海によると、建設発生土が5680万立方メートル、建設汚泥が679万立方メートルとしています。しかし、「建設発生土はできる限り再利用に努め、建設汚泥は脱水処理で発生抑制と減量を行う」とするだけで、最終処分地を明らかにしていません。

また、東京湾岸や伊勢湾岸の平野部には、自然由来のヒ素やフッ素を含む汚染土があり、南アルプスなどの山岳部にも自然由来のヒ素や鉛を含む汚染土があります。さらに、岐阜県東濃地域には、ウラン鉱床があり、放射性物質も含むので、大量の汚染残土が産出し、土壌処理や残土捨場を必要とします。

なお、リニア沿線で東京都、神奈川県、山梨県および岐阜県には土砂条例がありますが、静岡県、長野県および愛知県には土砂条例がないので、前述の三重県のように無秩序な残土捨場が多数作られる危険性があります。

全国の残土問題と土砂条例制定状況

国土交通省の「2018年度建設副産物実態調査結果」によると、建設発生土約1・3億立方メートルのうち44%の約6000万立方メートルが内陸受入地に搬入されています(27ページ参考資料参照)。直近10年間でも約6000万立方メートル前後と横ばいで推移し、建設発生土の搬出元は、公共土木工事が約84%を占めます。国や自治体の搬出責任が問われます。

このために全国的に建設残土捨場が不足し、各地で不法投棄や崩落事故などの問題を起こしました。2001~2014年でも残土崩落事故が、大阪府、広島県、山梨県、滋賀県、奈良県、青森県、千葉県、茨城県、埼玉県、岡山県、福岡県の11府県で14件起こりました。

建設残土は、安全な土木資材であり、産廃ではないとされ、規制する法律がありません。しかし、残土は産廃と同様に逆有償取引(お金を出して引き取ってもらう)であり、建設廃棄物といえます。建設汚泥や建設がれきは産廃です。そして、残土捨場から有害物質が検出されたり、建設がれきなどの産廃が混入していることが発覚しています。

1990年代後半から、残土の搬入や埋め立てを規制するために独自に土砂条例を制定する自治体が相次ぎ、2006年時点で千葉県、茨城県、埼玉県、栃木県、兵庫県、和歌山県、香川県、徳島県、愛媛県および大分県の10県に、市町村は163に達しました。首都圏から始まったこの動きは、全国に波及し、2020年現在、宮城県、神奈川県、東京都、群馬県、山梨県、岐阜県、三重県、京都府、大阪府、広島県、高知県、福岡県を加えて22都府県に及びます。政令指定都市でも大阪市、堺市、京都市、神戸市、岡山市、広島市、北九州市、福岡市、横浜市、川崎市、千葉市、さいたま市、相模原市の13政令指定都市に及び、全都道府県・政令指定都市のうち52%に当たる35自治体が土砂条例を制定・施行しています。

土砂条例の目的は、土砂崩れなどの災害防止と生活環境保全であり、埋め立て面積は500~3000平方メートル以上の許可制が多く、罰則も地方自治法の上限である懲役2年以下、罰金100万円以下が多いです。

前述したように、静岡県熱海市、三重県紀北町・尾鷲市、大阪府豊能町、滋賀県大津市、京都市などに限らず、全国的に残土捨場は、土砂崩落事故、自然破壊、水質汚濁などを起こしており、もはや自治体の土砂条例だけでは対応できなくなっています。都道府県・政令指定都市の41%は残土の法規制が必要としており、2020年に関東地方知事会と近畿ブロック知事会も法制化を要求しています。法制化においては、残土が逆有償の場合、建設汚泥と同様に産廃として扱い、廃棄物処理法の対象にするべきです。

【参考文献】

畑明郎『建設残土問題を考える』(近刊予告)。

畑 明郎

1946年生まれ。京都大学大学院工学研究科博士課程修了。京都市衛生公害研究所勤務後、大阪市立大学経営学研究科教授(環境政策論)・商学博士。著書は『廃棄物列島・日本』(2009年、世界思想社)、『イタイイタイ病 発生源対策 50年史』(2021年、本の泉社)など。

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