今こそ「保育とは何か」という観点を


我が家には、4人の娘がいます。年齢は、長女が中学1年、次女が小学4年、三女が小学1年、四女が3歳と、中学校から保育園まで多くの方のお世話になっています。

私自身は、保育労働者でも教員でもないので、あくまで個人の思いとして、内情と違っていたらご容赦いただきたいのですが、パートナーに大部分をまかせっきりとはいえ、10年以上子どもと一緒に、保育や教育を間近に見てきて、最近ふと感じることがあります。それは、「保育とは何か」「教育とは何か」ということです。

「保育園の使用したおむつの持ち帰りをやめてほしい」というニュースを最近よく目にします。京都では、80%以上の保育園がおむつの持ち帰りを保護者に求めていて、娘の通う保育園でも当たり前のように持ち帰っています。初めてニュースを見たときは、「そう思う人もいるのか」と純粋にびっくりしたのを覚えています。ただ、迎えに行くと、「今日は多いな」とか、病休明けなどは「まだ便が緩いな」などおむつを片づけながら感じることもたくさんあります。また、おむつトレーニングが進んでいくと、持ち帰るおむつの数がだんだん減っていき、「あっ!今日は1つだけ」そんなことに成長を感じ、先生と喜び合うこともあります。「感染症対策」「不衛生」「保育士の負担軽減」など、おむつの持ち帰りをやめてほしいと感じる人の気持ちはよくわかります。しかし、そこに「保育とは何か」という観点があるのかどうか、ニュースを見ているとよくわかりません。

児童福祉法に規定される保育所、学校教育法に規定される幼稚園など、規定される法律の違いなどはありますが、根底には「子どもたちの心身の健全な発達」があると思います。さらにいえば、私たち働く親にとっては、子どもたちを預かってもらう場所であると同時に、子どもたちと共に成長できる場だと感じます。そうした点に立った時に、おむつの持ち帰りがどうなのかという議論が本来必要なのではないかと思います。待機児の問題が大きくなる一方で、公立保育園は増えず、駅近のビルの一室の保育ルームや、24時間保育が増えています。預ける場所という点だけでいえば、便利な場所で時間を気にせず利用できることはいいことにもみえます。しかし、心身の健全な発達を保障するという点では、さまざまな課題があります。だからこそ、特に自治体では「保育とは何か」という観点がとても重要だと改めて感じます。

同時に、保育士の働き方や処遇の改善も、保護者としてとても気になります。娘の通う保育園で、担任の保育士さんが産休・育休に入っています。いつもお世話になっている先生の妊娠は、とても嬉しいことだし、元気な赤ちゃんの誕生を祈るばかりです。しかし、一方で、春にも職場復帰をするという話を聞いて、子どもたちとの接し方に慣れているとはいえ、初めての出産・育児と、仕事との両立はどうなのかと心配になるのも事実です。妻の大変さには遠く及ばないにしても、子育ての大変さを感じる身として、非正規に頼らざるを得ない配置基準の見直しや、ようやく一歩前進した処遇改善が、現場の実態に見合って充実が図られ、親も保育士も、子どもたちも安心して、成長できる条件づくりが今こそ急がれます。

馬場 紘平
  • 馬場 紘平(ばば こうへい)
  • 京都府議会議員・自治体問題研究所理事