再生可能エネルギー(以下、再エネ)は、自然エネルギーともいわれるように、自然環境を資源としているため、短期間かつ大規模に開発することは、必ず環境を破壊しそれを管理する地域社会に分断をもたらします。今の状況は「乱開発が進行している」状況です。私は、いったん立ち止まり、国レベルで持続可能性の観点から戦略的なアセスメントを行って、政策を転換させるべきだと考えます。
変わる景観
この夏、北海道宗谷管内の陸上風力発電事情を視察しました。同管内には、稼働中の発電機239基、アセス手続き中531基と、「過集中」の状況にあります。サロベツ原野を取り囲むように、またはと呼ばれる北海道遺産に指定された大地に、さらに最北端の集落を見下ろすようにして、大型風力発電機が林立しています。これらを「持続可能な社会に向けた営みとしての景観」として受け止めるべきなのか、考えさせられました。
「あなたの問題はささいなこと」
福岡県筑後市では、色覚に障害のある方が、ご自宅の前に3つの事業者により次々と設置された太陽光発電所からの反射光に苦しんでいます。対策の訴えに対して、事業者は国のエネルギー基本計画において再エネを倍増させる方針を報道する新聞記事を見せながら、「これが国の方針なのです。あなたの問題はささいなことなのです」と強弁しました。国の大号令が事業者を横柄にしているのです。
防波堤としての自治体
こうした中で自治体は「防波堤」としての役割を求められています。今年8月末現在324市町村で再エネ開発を規制する条例を制定しています。一方、国が求めている地球温暖化対策計画に基づく再エネ立地の促進区域の指定を行っているのは32市町村にとどまっています。とはいえ、自治体としてできることには限りがあります。結果的に全国各地で虫食い状の開発が進行しています。
また、再エネ開発は地方、特に中山間地に集中しているため、電力の一大消費地である都会に住む人たちは関知せず、立地地域で苦悩する人たちを孤立させています。
そうした状況があるからこそ、住民アセス、つまり住民自身が調査・学習し、事業者に意見する取り組みが大切です。そして、地域間がつながり、学びあって、持続可能な社会における再エネのあり方を世に問うべきときだと考えています。
立ち止まって見直そう
気候変動対策を再エネ開発に過度に担わせる政策は転換すべきです。大量生産・大量消費の市場至上主義の社会を支えるための再エネであってはなりません。
再エネ開発は、地域の自然の恵みを享受できる地域づくりに向けて、地域環境に対する共通認識を醸成しながら進めていくべきものです。合意形成にスピード感を求めることは「持続可能な開発」の理念にそぐいません。
再エネ開発は地域社会が抱える「やっかいな問題」です。そうであるからこそ、地域の自治力とそうした地域どうしが連帯していく力量が問われています。
