早期化する学生の就職活動

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人手不足や売り手市場といわれる中で、学生の就職活動が早期化しています。主要な調査によれば、2024年春と2025年春の大学生の就職率は過去最高水準の98%に達しています。これは、企業や役所など(以下、企業等)が人手不足を背景に優秀な人材の確保やミスマッチの防止などを目的として、早くから学生と接触しようとするためです。学生にとっては引く手あまたのように思えますが、多くの学生は就職活動の早期化によって疲弊しています。

国や経済団体は、学生が学修時間を確保しながら安心して就職活動に取り組めるよう3年生の3月から説明会解禁、4年生の6月から選考開始というルールを定めています。しかし、形式上の選考開始時期は維持されているものの、インターンシップや説明会などを通じた実質的な選考が早期に実施されています。主要な調査によれば、早期選考を通じて3年生の時点で内々定を得ている学生は4割弱に及んでいます。これは、低年次から就職活動の準備を進めていることを意味すると同時に、就職活動の長期化を意味しています。

就職活動の早期化は、インターンシップや説明会に参加できる学生と参加できない学生との間に情報収集や選考機会の格差を生じさせ、参加できない学生にとっては特定企業等への道が事実上閉ざされてしまう構図を生み出しています。また、インターンシップや説明会などは平日昼間に開催されることが多く、学生は授業を欠席せざるを得なくなります。学生は、授業担当者からは授業への出席を促され、一方で、就職担当者からはインターンシップや説明会などへの積極的な参加を促されています。就職活動へ参加することへの配慮は対応が分かれています。メディアやSNSなどでは就職活動の情報が日々飛び交っています。身近に内々定を得た学生がいれば焦りを感じ始めます。このため、学生は授業やサークルなどの学生生活と就職活動との間にジレンマを抱えます。授業に対する意欲や集中力の低下を招き、学業に専念することが困難となります。

このような就職活動の早期化については、人手不足への対応やミスマッチ防止といった企業等の合理的な理由も見受けられます。しかし、学生の学修機会の不公平感、学生生活の意欲低下、就職活動に対する心理的負担の増大などといった弊害が生じています。国や経済団体のルールはありますが、企業等は明らかにルールとは異なる運用をしています。この状況は、学生生活と就職活動のバランスを崩しかねませんし、学生自身が長期的なキャリアデザインを描く機会を奪いかねません。

もちろん、低年次からインターンシップ参加などを通じて企業等と接点を持つなどのキャリア教育は、学生にとってもメリットが大きいと考えられます。問題は、人材獲得の過当競争の様相を呈していることや、学生が学生生活を軽視せざるを得ない状況に置かれていることです。単に「人手不足だからやむを得ない」と受け流すのではなく、高等教育の目的や学生のキャリア形成のあり方、企業等による人材確保・育成の方策を、社会全体で根本から問い直すことが必要ではないでしょうか。就職活動中心の学生生活は、学生が多様な経験を積みにくくなり、その結果、企業等も経験を積んだ人材を確保する機会を失うことになります。学生はもちろんですが、企業等も自己矛盾に陥っているのです。

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