原発再稼働と地方自治

住民のくらしとエネルギー主権の視点から

    書籍名 原発再稼働と地方自治
    著者名等 大島 賢一, 岡田 知弘 (編著) 佐々木 寛, 関 耕平, 池田 豊, 古賀 勇人, 後藤 政志 (著)
    価格 ¥2,970(税込)
    発行年月日: 2026年7月10日
    ISBN-10 4868260197
    ISBN-13 9784868260196
    C-CODE C0031
    ページ数 270ページ
    本のサイズ A5

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書籍の内容

「再稼働」ありきでよいのか!

福島第一原子力発電所事故から15年。事故は今も収束していない。政府は事故の検証もしないまま、原発の再稼働・利用拡大へと舵を切る。転換するエネルギー政策の全体像を捉えたうえ、実際の避難計画の杜撰さ、自治体財政を歪める原発交付金の仕組み、原子力行政と地方自治の危うい関係、漂流する「核のゴミ」処分場選定、「失敗のゆるされない」技術の怖さなど、山積する課題を批判的に検証して、原発に依存しない地域のあり方を提起する。

目次

はしがき

1章 〔総論〕「原発の最大限活用」にどのように対抗するか 大島堅一

はじめに

1 福島原発事故後のエネルギー政策

  • (1)民主党政権における原発ゼロ目標の形成
  • (2)自公政権による原発ゼロ目標の放棄
  • (3)GX政策と原子力促進への転換
  • (4)第7次エネルギー基本計画による原子力促進政策
  • (5)電力需要は増大するか

2 国民負担で進む原子力推進政策

  • (1)既設原発の再稼働推進
  • (2)運転期間の追加延長制度
  • (3)長期脱炭素電源オークション
  • (4)原発と火力の新設のための公的融資制度の創設
  • (5)次世代革新炉と核融合炉
  • (6)核燃料サイクルの行き詰まり

3 原発再稼働と地域・自治体が抱える問題

  • (1)避難計画の実効性
  • (2)原発による地域経済への影響と自治体財政
  • (3)原子力行政と地方自治
  • (4)使用済み核燃料と高レベル放射性廃棄物の最終処分
  • (5)原子力規制基準の課題
  • (6)自治体に集中するリスクと負担

4 原発に依存しない地域づくりへ

  • (1)世界で進む再生可能エネルギーへの転換
  • (2)日本のFIT/FIPがもたらした成果と課題
  • (3)自治体が省エネ・再エネを推進する意義
  • (4)地域主導型再生可能エネルギーの展望

2章 柏崎刈羽原発の再稼働と避難計画
ーー取り残された課題 佐々木 寛

はじめにーー再稼働容認の“不誠実な”プロセス

1 新潟県原発検証委員会における避難委員会の検証が問いかけたもの

  • (1)避難検証の起点ーー新潟独自の「三つの検証」とその意義
  • (2)「紙の上の計画」と「現場のリアリティ」の乖離
  • (3)複合災害の多層化ーー積雪・自然災害から「有事」という現実的脅威まで
  • (4)「避難弱者」という言葉の裏にある「人権」の軽視
  • (5)「検証の限界」という結論が問いかけるもの

2 避難の「リアリティ」への視座

  • (1)「避難」という時間の再定義ーー「移動」から「漂流」へ
  • (2)空間のリアリティーー線引きされた「安全」の恣意性
  • (3)身体のリアリティーー被曝リスクの過小評価と生命の尊厳
  • (4)シミュレーションなき避難計画

3 制度的欠陥と「責任の所在」

  • (1)権限と責任の「ねじれ」ーー誰が命の保証人なのか
  • (2)自治体に押し付けられる「実効性」の重圧
  • (3)規制の「空白地帯」ーー原子力規制委員会と内閣府の狭間で
  • (4)事業者(東京電力)の責任能力と信頼の崩壊
  • (5)無責任体制ーー「三つの検証」が暴き出したもの

4 「避難できない事実」という可能性

  • (1)「避難神話」の崩壊と、直視すべき「不可能性」
  • (2)政治と行政における「不誠実」の構造ーー「平行線」の正体
  • (3)「避難できない」という事実を、変革の力に変える

結びに代えてーー「地域主権」のために

3章 原発マネーと地方自治のゆくえ
ーー原発再稼働と地域の今後を考える 関 耕平

はじめに

1 電力・エネルギーと地方自治

2 「原発マネー」とは何か

3 寄付金・拠出金の強化・拡大と原発再稼働

  • (1)島根原発の再稼働をめぐって
  • (2)柏崎刈羽原発の再稼働と新潟県への基金拠出
  • (3)福井県への年間50億円の拠出とその問題点

4 電源三法交付金制度の強化・拡大と原発再稼働

  • (1)電源三法交付金制度による再稼働への誘導
  • (2)電源三法交付金制度とその問題点

5 原発マネーは地域・自治体に何をもたらすのか
ーー島根原発の立地と地域社会の変容

  • (1)原発立地以前の地域社会
  • (2)原発の建設・立地と依存意識の形成
  • (3)中国電力からの寄付・地域開発協定金をめぐって
  • (4)「稼動前」の固定資産税収入相当額の寄付をめぐって
  • (5)寄付金の受け入れと安全性問題への認識
  • (6)原発立地に関する地域の意思決定の不在と地方自治の後退
  • (7)まとめーー依存意識の形成と地方自治の後退

6 島根原発と鹿島町財政

  • (1)鹿島町の歳入と固定資産税収入の推移
  • (2)鹿島町における電源三法交付金と寄付金

まとめにかえてーー原発立地・周辺自治体の展望をどう切り開くか

4章 原発立地自治体と原子力行政
ーー福井県における「共創会議」方式と地方自治 池田 豊

はじめに

1 原発立地県の中で際立つ福井県の重要性と課題

  • (1)福井県と青森県への核施設の圧倒的集中
  • (2)行き場のない再稼働後の使用済核燃料
  • (3)攻撃対象となる原発と使用済核燃料の新たな危機

2 福井県「共創会議」方式と立地自治体

  • (1)「廃炉の崖」 対応を迫られる自治体
  • (2)国の原発推進と立地自治体の生き残り戦略 福井県「共創会議」設立の背景
  • (3)「共創会議」方式の成立と構造
  • (4)「共創会議」による地方自治の否定
  • (5)国策推進の「地域原子力村」形成の危険性

5章 核ゴミ問題と自治体経営の論理
ーー「再エネ先進地域」寿都はいかにして分断を抱えたのか 古賀勇人

はじめに

1 核ゴミの最終処分場選定プロセス

2 核ゴミ問題と地域の分断

3 文献調査応募の論理

  • (1)最初期
  • (2)「促進区域」選定以降から文献調査応募検討報道まで
  • (3)文献調査応募検討報道以降から文献調査応募まで

4 「再エネ先進地域」の陥穽

おわりに

6章 技術から見た原子力規制と電力事業者の体質 後藤政志

はじめに

1 原発事故と炉型および再稼働についての整理

  • (1)原子力産業の歴史と現状
  • (2)耐震設計における科学と技術について

2 柏崎刈羽原発6号機の制御棒関連トラブル・事故

  • (1)新潟県技術委員会の専門家の意見
  • (2)市民団体主催の会合における東京電力と規制庁職員の発言
  • (3)制御棒問題をめぐる東電の説明
  • (4)東京電力は本当に原発の技術的な仕組みを分かっているのか

3 静岡県の中部電力浜岡原発

  • (1)浜岡原発の特徴
  • (2)日本における改良標準化計画と改良型BWR(ABWR)の欠陥
  • (3)原子力技術者集団の特徴
  • (4)浜岡原発の技術的問題の具体例

4 事故対策が成立しない原発自体の仕組み

おわりに

7章 原発に依存しない地域経済・地域づくりへの展望 岡田知弘

はじめに

1 日本における原発推進政策と立地政策の開始

  • (1)所得倍増計画による原発推進の加速
  • (2)原発に加え、使用済核燃料再処理工場、新型原動力炉開発の建設へ
  • (3)長期建設計画の見通しと原発推進の加速

2 原発立地難の深刻化と電源三法の制定

  • (1)原発立地の困難化と温排水問題
  • (2)原子力発電所立地対策の抜本的強化と使用済核燃料再処理施設の建設開始
  • (3)第一次オイルショックと田中角栄内閣
  • (4)電源三法制定の本来の目的

3 原発立地の地域経済効果をめぐる夢と現実

  • (1)原発立地の地域経済効果
  • (2)原発立地地域の産業構造の変化
  • (3)原発立地自治体は財政的に持続可能になったのか

4 「原発再稼働で地域経済活性化」論の再来

  • (1)福島第一原発事故と第二次安倍政権の下での原発再稼働論の台頭
  • (2)原発は立地地域経済を豊かにしたのか
  • (3)地域の持続的発展の主体は誰か
  • (4)福島県で広がる脱原発の取組み

おわりに

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