2025年度の最低賃金改定について、厚生労働省は昨年9月5日に、すべての都道府県の答申を取りまとめて公表しました。
改定額の全国加重平均は1121円で、前年度の1055円から66円(約6.3%)の引き上げとなりました。目安額(A・Bランク63円、Cランク64円)を上回ったのは39道府県で、すべての都道府県が1000円以上となり、最高額(東京都1226円)と最低額(高知、宮崎、沖縄1023円)の差は203円と、昨年の212円から改善されたとしています。
一方で、発効日は、10月1日がわずか1県で、10月中の発効は20都道府県と半数以下にとどまり、本年1月以降の発効が6県となりました。昨年(2024年度)は11月1日まで、一昨年(2023年度)は10月14日までにすべての都道府県で発効したことと比較すると、発効日がどんどん先延ばしになっています。
発効日先延ばしの影響については、「実質の地域間格差が拡大」などと報道され皆さんもご存じのことと思います。2025年10月から2026年9月の1年間の最低賃金をもとにした総収入(ボーナスを除く)をもとに試算した平均時給の引き上げ額は、1月1日発効の徳島県は49.5円、3月1日発行の群馬県では46.5円、3月31日発行の秋田県では41.0円と目安額を大きく下回ることとなります。同様の試算では、目安額を上回る改定は16県にとどまりました。
発効日の先延ばしが、経済界からの強い要求で行われたことは、地方最低賃金審議会の議論でも明らかで「中小企業の負担軽減」「準備期間を確保」などと報道されています。
そもそも最低賃金制度とは誰のためにある制度なのでしょうか。最低賃金法第1条では、「この法律は、賃金の低廉な労働者について、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もつて、労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする」と規定されています。最低賃金は憲法25条の生存権に基づく制度だというのは、多くの方が思っていることではないでしょうか。
であれば、経営者側に配慮すべきは「国」の側であって、労働者にその負担を押し付けるのは憲法違反です。
厚生労働省が2026年1月8日に発表した2025年11月分の毎月勤労統計調査の速報値では、パート労働者の時間当たりの給与引き上げは、前年同月比で4.2%にとどまり、最低賃金の引き上げ率を下回っています。これは、発効時期先延ばしの影響が大きいと考えられます。
すべての労働者の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」(憲法25条)を保障するためには、最低賃金引き上げの発効は遅らせてはならないものです。
地域間格差をなくすための全国一律最低賃金制度の確立、すべての労働者の生存権を保障する最低賃金改定の早期発効、中小企業を含めたすべての雇用主が適正な賃金を払えるような経済対策は、喫緊の課題です。
2026春闘では、大幅賃上げ、働き続けられる労働環境の整備と併せて、最低賃金制度の改善を求めています。
